2133m

右中央が燧ヶ岳、左端が日光連山

駒の小屋下の湿原に咲くハクサンコザクラ
 女性的な



H23.7.17

      会津駒ケ岳 (2132.4m:福島県南会津郡檜枝岐村)   登山者:沖(単独)


登山口の階段
コースタイム:西那須野5:00==(約100Km)==7:05会津駒ケ岳滝沢登山口駐車地点7:10---7:20登山口階段---8:40水場8:50---9:45木道(展望台)10:00---10:18駒ノ小屋10:20---10:40会津駒ケ岳山頂(2132.4m)10:45---10:50三叉路11:00---11:40中門岳12:00---12:20三叉路12:30---12:40駒ノ小屋---13:30水場---14:15登山口階段---14:25駐車地点14:30==(アルザ尾瀬の郷:入浴@500円、約100Km)==17:30西那須野

 会津駒ケ岳に久しく登ってないので、ハクサンコザクラが咲くこの時期に登ってみようと思い、出かけることにした。記憶では最初のデジカメでチングルマやハクサンコザクラをローアングルから写した記憶があり、かれこれ10年の歳月が過ぎているように思われる。


チングルマ(背景は会津駒山頂部)
 朝5時に西那須野を出発して途中トイレ休憩を挟んで丁度2時間、距離も約100Kmと切りの良いところで滝沢登山口に到着した。登山口駐車場まで車が入れるかなと期待しつつ林道に入ると、道半ばで地元の方々による駐車場整備による誘導で指定された路肩に駐車する。そこで着替えをして林道を登るが、100台ほど上部の路肩に駐車していて、この山の人気のほどが分かる。

 登山道は駐車場に通ずる林道に掛かる木製の長い階段を登ることから始まる。登山道入口で写真を撮ってコースタイム記憶の代わりをして、急坂の斜面に取り付く。加齢の影響だろうか、今回もまたゆっくりペースで登るが、以前のようなピッチで歩行はできず、ザックに何も入ってないほど軽量化してもまだ歩みは遅くなっている。


駒ノ小屋前の駒ノ大池
 登り始めは唐松、ナラだった樹層が直ぐにブナに変わる。そして急坂を一気に登ると少し平坦になって共同アンテナ地に到着。ここで一本立てる慣わしだが、今回はここまで来るのも辛かった。

 ブナの木陰で快適なはずの登山道を喘ぎながらゆっくり登る。オオシラビソが混ざるようになると待望の水場だ。でも大勢が憩っていたため、空スペースが無く、少し先の倒木をベンチ代わりにして休憩。持参したグレープフルーツを少し食する。んま〜い。柑橘類は汗のかいた真夏の山では何よりもご馳走だ。まだ時間も早いし、焦らずゆっくり登ることにする。足元がマイヅルソウ、アカモノ、イワカガミと変わってきて、コバイケイソウが出迎えてくれていよいよ木道、傾斜が一気に緩くなって会津駒ケ岳の山頂部、森林限界地点に入る。


駒ケ岳山頂にて
 会津駒ケ岳を望む展望ベンチにやっと到着。ベンチで腰掛けながら正面の駒ケ岳山頂部を眺める。足元の湿地には池塘が、その縁にワタスゲが靡いている。イワイチョウの白い花と深緑色の葉っぱの対比が美しい。

 呼吸を整えてから正面に見える駒ノ小屋まで真っ直ぐ延びた木道を登っていく。これが意外と急で息切れしてしまうのが常であり、今回はチングルマが群生して出迎えをしてくれたので、カメラを構えながらゆっくりゆっくり登っていく。嬉しい。今回もチングルマが丁度良いタイミングで咲いている。そういえば木道周辺の裸地はいつの間にか緑が繁茂してすっかり草原に修復されている。自然の回復力に驚かされてしまう。


中門岳への稜線
 小屋前のベンチには大勢が休憩していたので、ここでは休むことなく早めの退却とした。そして新たに入ったと言う管理人が忙しそうにしているのを横目に山頂に向かうことにする。小屋の前の池周辺はこの時期でも雪解け中で期待の花はまだ咲いていない。山頂に近づくと少し盛りの過ぎたハクサンシャクナゲが多く咲いていた。やっと一等三角点のある会津駒ケ岳山頂に到着。奥まったところにある一等三角点(点名:岩駒ケ岳、標高:2132.4m)を撫でてから、狭い山頂で見知らぬ同士がお互いにシャッターの押し合いをする。一通りの儀式を終えて展望盤に描かれた展望図と見比べようとするが、生憎視界はいつの間にかガスで消されている。登る途中で見えていた燧岳も日光白根山も隠れていた。

 そのまま下山するのは勿体無いので一縷の望みを持ってハクサンコザクラが咲く中門岳へ稜線漫歩を決行する。まだ残雪の消えない尾根上のルートをゆっくりと花を求めて歩き出す。中門岳から戻ってくる人に聞くと中門池付近に少し咲いているとのこと。結局其処まで行かなきゃハクサンコザクラは見えないって事だと諦めて、覚悟を決めて中門岳を目指す。


イワイチョウ
 この天上の楽園のような稜線にはイワイチョウ、ワタスゲが勢力を誇示し、暫くすると咲き出すであろう次の花コバイケイソウ、モミジカラマツなどが順番待ちをしている。紫の小さな花は所々に小さな群落を作って目立たないように咲いていた。なんとも言えず清楚で綺麗な花だ。


中門池にて
 一旦中門池まで行き、その先に延びる木道を辿っていくと中門岳に到着。其処には山頂標識も何も無いが、池塘を囲むように木道がループして戻っている。谷を挟んで三岩岳が立派だ。誰もいない中門岳で一人池塘と三岩岳を眺めて、ハクサンコザクラの咲く中門池周辺の湿地帯に戻る。

 ここで花の写真を撮り、中門岳の標柱とともに記念写真を撮ってもらう。時計を見ると丁度12時、稜線漫歩を楽しみつつ会津駒ケ岳へと戻る。稜線上は残雪が多いため水蒸気が常に湧き上がっていて、風向きによって時々視界がガスで閉ざされる。日差しも弱いため涼しさ倍増で素晴らしい散歩道と言える。これで越後側の山並みが見渡せたら申し分なかったのだが、生憎ガスで視界はなかった。


ハクサンコザクラ
 三叉路で再び休憩して残りの果物を食べ、荷物をグッと軽くして一気に下山モードに突入。小屋の下にあるお花畑で最後のチングルマを再びカメラに収めて樹林帯へ入っていく。風の通らない樹林帯は蒸し暑くて閉口するが、とにかく我慢して慎重に下山。登山口に掛かる階段を下りるとホッとした。

 山の汗はここ数年日帰り入浴を対象に値引きしている「アルザ尾瀬の郷」でさっぱりして帰路に就いた。


2002.7.6−7


イワカガミ

コバイケイソウ

中央の山が中門岳

会津駒ヶ岳山頂

ミズナラの大木の繁る登山道

駒の小屋下の湿原より燧・至仏山

山頂取付き付近より駒の小屋方面

駒大池と駒ヶ岳

 7月6日12時半頃、4時間もあれば檜枝岐に着けるだろうと出発する。約146kmの行程には峠が3つもあり、今日中に着ければイイやと思いのんびり走るが、4カ所も休んで3時間半でたどり着いた。

 時間があるので登山口を確認し、山頂で欲が出たら大津岐山も回ろうと思い、下山口のキリンテまで距離を測りながら行ってみた。約4.3km走ったところにキリンテキャンプ場を見つけ下山口を確認する。バス時間を見ると14:24と夕方にしか無く、もしこちらに下山したら車道を徒歩で戻らなければならない事が分かりガッカリする。

 その後、七入近くまで行き燧ヶ岳を撮影してキリンテに戻るとバンガローの看板を見つけ、いくらで泊まれるか聞くと2000円でイイと言われここに泊まることになった。寝具付きだと500円アップらしいが、素泊まりでも大衆浴場(温泉)の入浴券(帰りに返却する)が付いている。当初、登山口の駐車場でビバークの予定だったが、8畳もある部屋を一人で独占。入浴料500円の券付きで2000円は安い。大いに利用したいものだ。

 7日、軽い朝食を取り滝沢橋付近の登山口に戻り、約200m下ったところのテニスコート脇の駐車場に車を置き出発する。車道と近道の登山道を約20分登ると取り付きに木の階段が現れ、いよいよ本道に入る。付近の要所要所の駐車スペース(空き地)には約40台ほどの車が停めてあったが、平日は工事車両が出入りするためなるべく入らないような旨の注意書きがあった。

 階段を上りきると早速急傾斜が現れ、ジグザクな道が一気に高度を稼ぐ。ミズナラの大木が陽光をさえぎり、風の通りも良く涼しいのだろうが玉のような汗がこぼれる。やがてポッカリと穴の空いたように林がとぎれ、ヘリポート跡に出る。この辺から遠くに山の字のようなひときわ目立つ山が見えてくるが、後で日光白根山ということが分かった。地図に燧の頭が見えると書いてあるところは、更に上の水場付近からのようだった。小休止を取り更に登とまもなく、集落共同受信用のテレビアンテナがある。よくまあこんな高い所(約標高1400m)に作った物だと感心する。

 約1時間20分で水場まで登る。広場になっているが、水場は30m程下ったところにあり苦労して水を補充している人もいた。この辺からは傾斜もやや緩くなり楽になるが、石や木の根も大きくなり歩きづらくなる。カンバにツガの木が混じり出すと、大戸沢岳方面の尾根が見えだし稜線が近くなる。まだ多少のきつい登りも現れるが、緩い登りもあり比較的楽に進める。シラビソの混じる灌木帯を進むと、ほどなく木道が現れ駒の小屋も見え出す。ここまで登れば、駒ヶ岳に登ったも同然、慌てず高山植物の花を観賞しながらゆっくり登る。

 木道は二条に付けられてなかなか楽に歩け、山頂や中門岳などにもつながれている。この日の天候は梅雨の晴れ間とはいえ、かなり良く見通しも抜群だった。各山の格好もある程度覚えたためか、難なくあの山は何々と察しが付いた。山頂でご婦人方に解説している人の話を聞きながら、なるほどと自分に酔っていた。山頂はあまり見通しは良くないが、木道をある程度移動すると約360度のパノラマになる。少し疲れるが、あちら、こちらと歩き回り十分に山頂からの景色を楽しもう。会津駒ヶ岳は、燧ヶ岳とは違い女性的なおおらかな山容をしている。時間があれば是非、中門岳や大津岐山方面に足を伸ばしたいものだ。今の時期が、高山植物の花の季節の真っ最中で良い思い出が出来るかもしれない。 阿部 記


 下山後、檜枝岐のソバで有名な”かどや”さんを過ぎた、町はずれにある”燧の湯”(前の場所、向かいの小高い所に3倍ほど大きくなり新装オープンした)で汗を流し帰途についた。

コースタイム:テニスコート駐車場−0:25−車道上部登山口−1:20−水場−1:30−駒の小屋−0:20−山頂 (休憩時間含む)