葉山   (1461.73m:山形県村山市大字山ノ内)


(2009)H21.9.21



葉山遠景
 前夜は月山の麓にある肘折温泉に泊まり、良いお湯と行き届いたサービスに癒され、早朝の朝市を部屋から眺めながら物色。その後、名ばかりの国道458号線で十部一峠登山口を目指す。この峠からだと簡単に葉山に登ることができるため、家内と一緒の登山では安心して連れて行ける。山形県には他にも長井市に同名の葉山があり、今回の登山は葉山(村山)、長井市のほうは葉山(長井)として区別するようだ。


ツタウルシ
 国道458号線の車窓から、谷を隔てた月山の山頂部が赤く染まっているのが遠目でも分かり、標高の低い葉山も多少は紅葉が期待できそうである。期待を胸に悪路を走行して林道の終着地点に到着。先行客の車が一台とバイクが一台の計2台だけで、以外と少ないように感じるが連休の中日とあってはマイナーな山域ではこの程度か。駐車スペースは林道終点近辺に3箇所あり、合計で10台程度駐車できそうである。我が車は2番目の駐車スペースに止めて、山の仕度をする。


オオカメノキ
 登山口にはツタウルシが赤く染まって小さな秋を演出していたので、早速最初のカメラの出番となった。林道終点の先に登山口入口の標柱と登山道が下り方向に付けられている。よく踏まれた登山道で少し進むと涸れ沢になり、ラショウモンカヅラと思しき花が足元を飾っている。


トンボ沼 奥月山
 涸れ沢を過ぎるとブナ林が美しい森林美を形成し、木洩れ日でブナの葉が少し黄色味を帯びているように感じさせる。目線の先には赤く色づいたオオカメノキの実が陽に照らされ、見上げると真っ赤に染まった葉っぱが透けて葉脈が複雑な網目を見せてくれる。そんな景色を楽しみながら緩やかに標高を上げていく。

 奥宮まで一時間ほどの行程とガイドブックにあるが、家内はそれでは歩けないのでもっと時間を掛けてゆっくり亀足で歩む。それでも一時間で「まっと沼」に到着。途中、一回の休憩でここまでやってきた。この先から奥宮の頂と三角点のある頂の二つの頂が丸く見えて、ゴールが近いことを感じさせる。振り返ると正面に月山が大きくのっぺりして横たわっている。その左に朝日連峰が横に長く延びている。何度となく似たようなアングルでかわり映えのしない写真を撮っている。


奥の宮山頂と鳥海山
 「まっと沼」から先は「しゃくなげ平」「どうだん坂」と立て続けに標柱があり、それに気をとられていると直ぐに「トンボ沼」に到着。周囲を木道で囲まれた沼の一角に休憩できる板張りの場所があり、そこでちょっと休憩して小腹の足しに朝市で購入した草餅を食べる。座りながら葉山の三角点のある本峰が見え、反対方向には肘折温泉からの登山道分岐の標柱が見える。紅葉した景色に囲まれたトンボ沼でゆっくりし、腰をあげて歩き始めること僅か5分、トンボ沼から奥宮まであっという間に到着した。


葉山山頂にて
 奥宮では家内と並んで2礼2拍1礼で、いつものように沢山の願い事を祈願する。また奥宮からは絶好の展望が360度の全方位に眺められた。まず西に月山を眺め、その左に長々と雲海の上に黒々と峰を連ねて朝日連峰が横たわっているのが印象的だ。その朝日連峰に寄り添うように後ろに遠慮がちに霞んで見えるのが、どうも飯豊連峰らしい。飯豊連峰から左にすこし白く雲海で間をおいて見えるのが飯森山と、その周辺の日中トンネル上部の山々。更にその左の大きな黒い塊りは吾妻連峰で、真南に位置している。

 吾妻連峰の左(南南東方向)には蔵王連峰が見渡せる。この辺りの所謂奥羽山脈に至ると雲が多くなって低い山並みは雲に隠されて山座同定が困難になってくる。はっきり同定できるのは大東岳、船形山程度か。奥羽山脈が北に行くほど雲に閉ざされ、神室岳とおぼしき頂が見え出すとまた雲が切れて、甑山の男岳と女岳が認識され、丁岳が少し高くなって識別できる。その左に一際高く聳えているのが鳥海山だ。北方向は奥宮の裏手から綺麗に眺められる。


朝日・飯豊遠望
 しっかり展望を堪能して、三角点のある本峰を目指して朱塗りの鳥居を潜り、草原の中に降りていく。山頂付近の草原はまだ紅葉にはちょっと早いが、それでも驚くほど緑色が消えて薄茶色く変色している。小潅木も葉っぱは赤茶色に染まり、まもなく紅葉の見ごろを迎える一歩手前の状況まで進んでいる。そんな紅葉の真っ只中をほんの15分程で目指す一等三角点のある葉山山頂に到着。山頂部は一等三角点(点名:葉山、標高:1461.73m)以外に何も無く、唯一四周の山を見やすくするために刈り払いされているが、それが無ければ笹薮に閉ざされた山頂になってしまう。念願叶って登った山頂が期待と大きく異なってガックリだったが、気を取り直して三角点にいつものようにタッチし、奥宮でもお祈りしたように、ここでも山の安全、家内安全、商売繁盛など盛り沢山の願い事を祈願した。

 山頂部には横浜から来たという男三人組が昼食を戴いていた。私たちは下山してから蕎麦を食べようと、軽く小腹の足しにする程度に昼食を済まし、早々に往路を引き返す。山頂部手前の露岩部には蛇が一匹、行きも帰りも顔を会わせて日向ぼっこの邪魔をしてしまった。

 帰路は国道を寒河江方向に下ったが、道路は格段に寒河江ルートが良く、入山するなら国道112号線から分かれて458号線に入ったほうが良い。  沖 記

コースタイム:肘折温泉820===930十部一峠登山口935---1035まっと沼---1100トンボ沼1110---1115奥宮1130---1145葉山山頂(1461.73m:軽食)1200---1215奥宮1230---1320十部一峠登山口1335===寒河江へ