乾徳山 (2031m:山梨県山梨市大字徳和)  参加者:沖 、昌枝(計2名)

H19.9.23



乾徳山登山口

針葉樹の薄暗い登山道
 家内と二人、久しぶりに山梨県の石和温泉に出かけたので、ついで登山として乾徳山に登った。乾徳山は武田信玄の菩提寺として有名な乾徳山恵林寺の冠を付した山であり、深田クラブの主宰する200名山にも選ばれている。

 前夜、笛吹き温泉郷の山間の一軒宿でアルカリ泉のヌメッとしたお湯にくつろぎ、当日は大平牧場から少し楽をして登ることにした。過去に登ったときは塩山駅で夜明かしをして早朝一番のバスで徳和集落に降り、そこから銀晶水を経て国師ヶ原、扇平、岩場(鎖場)ルートで山頂に立った。

 今回は狭い林道を8Km走って大平荘に車を預け(駐車料金500円)て、そこから林道を少し歩き牧場を縦断するように登っていく。一旦林道を横切るが、その場所には大きく「乾徳山登山口」と書かれた看板があり、階段状の広い登山道が樹林の中に消えている。


扇平へ続くカヤトの道
 天候は曇りで山頂部はガスって居て富士山や奥秩父、南アルプス、八ヶ岳などの展望は得られない生憎の天候だが、気温が上がらない分だけ楽に登れる。単調な道満尾根を忠実に登っていくと、徐々に傾斜も緩くなり岩場を何度か越すと左下から登山者の声が聞こえるようになる。国師ヶ原から登ってくるルートとの合流点になるとマツムシソウやウメバチソウが咲くカヤトの原になり月見岩がでんと大きく横たわる。ここの分岐に道満尾根ルートの表示が無く、注意を要するところだ。


イワインチン
 扇平で一本立てて紅葉しかけた草原を眺め、少しだけエネルギーを補給する。明るいカヤトの原から薄暗い針葉樹の林の中の尾根に入り込んでいくと、段々と傾斜がきつくなってくる。そのうちに所々明るく開けた岩場のルートと交互になり、やがて鎖場が出てくるようになる。また狭い岩場に掛けられた梯子を降りるなどしながら、終楽章の乾徳山のシンボルの鎖場に近づいていく。


巻き道の無い鎖場(下段部)
 最初の巻き道の無い厳しい鎖場で夫婦連れがリタイヤして、引き返した。その後ろを付いていた家内が若干びびったが、足場を指導しながら登ると、下部の鎖は何とかクリアし、上部の鎖場に移って行った。その上部鎖場はやや高度感があり、足場も小さいため必死の形相で何とかクリアした。ここまでくれば最後の鎖場が待つだけだ。


乾徳山山頂部を望む(南側から)
 途中の岩場には可憐にもイワインチンが黄色の花をつけて沢山咲いていた。山頂直下には高度感十分な岩壁が立ちはだかり、割れ目に沿って足を高くあげてこじ入れながら体重移動させ、よじ登っていかなければならない。ここでも別の夫婦連れが挑戦していたが、結局足が持ち上がらず途中でギブアップして巻き道を登っていった。


山頂部の鎖場
 家内は最初から巻き道ルートを採るとのこと、私だけ岩場をよじ登って途中から写真を撮ってもらうため、一旦岩場を降りてカメラを家内に渡して再び登り直す。楽しい。ルンルンで登って岩場途中で何度か撮影を要求する。鎖場を登りきるともうそこが2031mの山頂だ。

 家内が巻き道で登ってくるのを待って山頂で記念撮影をする。山頂部には三角点は無いが恵林寺奥宮が祀られている。それをバックにして記念撮影となった。残念ながら山頂部はガスに閉ざされて富士山や四周の山々は見えず残念だが、山頂に立っただけで満足とする。

 狭い山頂部で昼食場所を見つけて、温かいコーヒーを入れる。インスタントだけれど甘くて美味しい。至福のひと時だ。これで山岳展望が得られたら申し分ないのだが、昔富士山をバックにした写真を撮ったことを思い出し、それで我慢する。


乾徳山 山頂の御夫妻
 下山は往路を戻るのではなく黒金山方向に少し進んで国師ヶ原に下るコースを採ることにした。ところがこの道も出端から鎖、梯子が連続し家内にはきついルートだった。また分岐点からの下山路は急傾斜で滑りやすく、下りが苦手の家内にはちょっときつかったようだ。


下山路分岐地点の標識
 国師ヶ原の高原ヒュッテに到着したときは正直ホッとした。高原ヒュッテと言う名前は立派だが、実態は廃屋寸前の避難小屋である。ここまで降りてきたところで持ちこたえていた空からパラパラと雨が落ちだした。緩やかな登りを急ぎ足で歩く。所々に咲くヤマラッキョウの花が元気をくれた。

 道満尾根に出て尾根を林道と合流するところまで忠実に下り、そこから牧場を横切る林道を駐車場まで戻る。雨は林道を歩いているうちにいつの間にか止んでいた。 沖 記

コースタイム:青笹集落(温泉宿)7:55===8:25大平荘駐車場8:40---9:00登山道入口9:05---10:20扇平10:25---11:35乾徳山山頂(2031m:昼食)12:00---12:15下山道分岐点---13:25国師ヶ原(高原ヒュッテ避難小屋)13:30---14:20道満尾根林道14:25---14:40駐車場14:50===石和温泉へ