那須連山・山行記


H22.8.22

      那須・南月山 (標高:1775.81m、栃木県那須郡那須町大字湯本)   参加者:沖夫妻

コースタイム:西那須野8:00==(約40Km)==9:00ロープウェイ山麓駅駐車場9:18**(往復1100円)**9:22ロープウェイ山頂駅9:25---10:00牛ヶ首10:05---10:55南月山11:05---11:45牛ヶ首12:00---12:35ロープウェイ山頂駅12:36***12:40ロープウェイ山麓駅駐車場12:45==(約40Km)==13:45西那須野


ロープウェイ山頂駅
 夏の暑い日は高原散歩に限る。今週は地元・那須の山に涼を求めて、今まで利用したことのないロープウェイを使って身体に負担を掛けない山歩きを楽しむことにした。設定したコースはロープウェイで山頂駅まで運んでもらい、そこからほぼ水平に近い緩やかな登りを経て、牛ヶ首に出る。そこから表那須一帯で一番花が多く見られる南月山まで歩き、同じ道を引き返す約3時間の軽ハイキングだ。これだとほとんど汗もかかないで高原の涼風に吹かれて、天然クーラーの前にずっと居るようなものだ。


日の出平下より那須・茶臼岳
 9時にロープウェイ山麓駅駐車場に到着したが、ほぼ満車状態でさすが人気の観光スポットだと驚かされる。いつも利用する峠の茶屋駐車場ではこの時期、この時間ではもう駐車スペースはない。

 ロープウェイ山頂駅のある標高約1680mの地点まで文明の利器で運んで貰って、牛ヶ首(標高約1735m)まで標高差約60mを登るのが本日の第一ハードル。そして本日のコース最高地点は日の出平の標高1786mで、ここが第二ハードルでこれをクリアすると夢の稜線歩き。ゴールの南月山は1776mと、アップダウンの少ない楽なコースを歩くことになる。これなら涼風に吹かれるだけで、直射日光に晒されても汗ばむようなことはない。

 今までこんな横着なハイキングはしたことがないけれど、こう暑いとやっぱり背に腹は代えられなくて、随分楽な計画をしてしまった。でも歩き出すとやっぱり山は山で、なかなかよろしい。ススキの仲間やウラジロタデ、シラネニンジン、アキノキリンソウ、リンドウなどに出迎えてもらい、ガンコウランの黒い実やコケモモの赤い実を愛でながら歩いていると、いつの間にか牛ヶ首に到着。


南月山にて
 眼下には姥ヶ平が広がり、その向こうに流石山から大倉山、三倉山の稜線が大きい。茶臼岳の無間地獄から噴煙が上がり、その奥に那須の最高峰・三本槍岳が見える。この牛ヶ首で景色を見ながらしばし休憩。

 牛ヶ首から日の出平まで少し急な山道を歩くことになるが、次々と花が出迎えてくれ振り返ると茶臼岳が雄々しく見守ってくれている。トリカブト、ホツツジ、ゴマナ、アキノキリンソウ、ハクサンシャジン、シモツケソウなどがお出迎えだ。


中央奥に沼原池が見える
 南月山への道は火山岩の黒い尾根筋を通っていくが、ここにはキンレイカ、イワインチンが咲いている。南側には沼原が見え、その向こうに塩原方面の山並みが霞んでいる。茶臼岳だけはハイキング途中のどこからでも眺められ、如何にも那須の山という印象を強く受ける。


アキノキリンソウ
 南月山には二等三角点が設置されている。祠から少し離れた繁みにあるため分かり辛いが、その三角点に軽くタッチし、祠に手を合わせていつもの呪文を唱える。三角点の点名は『月山』、標高は1775.31mである。

 山頂付近にコマクサの繁殖実験をしていたが、いつの間にか跡形もなく撤収されていた。異物を持ち込まないほうが自然らしくて良いと思う。

 帰路も花の写真を撮りながら、茶臼岳を常に見ながら往路を引き返す。ちょっと早い下山だったが、昼過ぎから別件の所要が入っていたので、急いで発車間際のロープウェイに飛び乗り3時間のハイキングを終えた。


2007.7.7

  那須 白笹山・南月山・沼原湿原 


中央奥・沼原湿原

左・大倉山、右・流石山 会津と分ける山々

白笹山方から南月山を望む

南月山 山頂
 某新聞に、霧降高原のニッコウキスゲが咲き出したと載った。そうだ那須の沼原湿原も良い頃だろうと思い立ち、折角だから南月山にも登ってみようと出かける。天気予報は立派なスーパーコンピューターを駆使しても、当日に変わり当てにならない。今日も雨にはあたらないだろう・・と楽観視して出発。

 西那須野塩原インターで高速道を降り、国道400号、県道30号他を利用して板室温泉経由で、沼原湿原近くの駐車場に7時40分頃に到着。冴える感ナビで、ここまで約2時間弱。薄曇りだが、空気は乾いている様子だ。湿原の楽しみは後にとっておき、用足し・身支度を整え8時、白笹山を目指して登り始める。鈴を付け先を行く登山者は1名のみ、後を追うように黙々と進む。


ウスユキソウ

那須本峰・雲巻く茶臼岳
 比較的安定した登山道が続き、古いU字溝を渡ると傾斜も加わりシラカンバ林に変わる。更に高度が上がると十字路が現れるが、左右の道は刈り払われているが登山道では無いようで直進する。この当たりから五葉ツツジ等ツツジ類の群落が、白笹山頂まで続く。5月中旬から6月いっぱいくらいまで赤や白のツツジを楽しめそうだ。更に高度が上がると枝振りの良い松の木越しに沼原湿原や沼原池が見えてくる。ガスにけむり大佐飛山や男鹿岳らしき山並みも見える。雨粒こそ落ちてこないが、見通しが良くないのが残念だ。

 道は白笹山を右回りに蒔くように変わり、木々の切れ間から大倉山や流石山の峰峰も見えてくる。この当たりからドウダンツツジやウラジオヨウラクも花を残し彩りを良くする。足下にはゴゼンタチバナやカラマツソウが点々と散らばっている。周りの灌木は背が低くなり傾斜が緩くなると、いきなり山頂(1719m)の標識が現れた。森林限界と感じられても、見通しは全く良くない。両側の笹が刈り払われた道を少し進むと、見晴らしの良い場所に出る。ここで南月山を眺めながら大休止を取る。

 道は下りに変わり、背の高いシラビソや樅の木も現れる。高度差約60mを下りきると再び登りが始まるが、所々で見通しの良い場所も現れ雄大な関東平野も望めるはずだが想像だけで諦める。しばらく緩い登りを黙々と進むと再びいきなり、南月山(1775.8m)の頂上が現れる。ガスが無ければ茶臼岳の眺めが良いはずだが、想像しながら大休止を取る。周りは、マルバシモツケが咲き出したばかりで、コケモモの花も隠れるように咲いている。

 沖さんが言うには、ここから広がるザレ場には誰かが植えたのか?コマクサが有るらしい。歩みを遅くして、目を凝らして探しながら進む。すると茂みの淵にウスユキソウのカブを発見、早速カメラに収める。しかし、それらしいカブは見つからない。ザレ場の中央部を過ぎると、あるあるウスユキソウの群落がこんなにあるとは驚いた。結局コマクサは諦め、ドウダンとミネザクラの茂るなだらかな道を日の出平へ向けて進む。


姥ヶ平から牛ヶ首を望む

三斗小屋への分岐
 日の出平の分岐に出ると、やっと5−6人の中高年の登山者に出会いにぎやかになる。牛ヶ首が見える高台に出ると、茶臼岳がうっすらと顔を出して招いている。ここまで来たから、無限地獄の噴煙を真下から見てやろうと、牛ヶ首へ進む。周辺のイワカガミは既に咲き終わり、カラマツソウやゴゼンタチバナの白物しか見あたらない。更に下ると、シャクナゲが咲き出していたが、少し白っぽく元気も無い様子。牛ヶ首の風は弱く、どんどんガスが覆い始めている中を小学生の集団が賑やかにやって来た。休まず茶臼岳の腹を無限地獄へ向けて進む。

 いつもは人々の列でごった返すが、天候のせいか疎らで歩きやすい。6分ほどで轟音の響く噴煙地帯に到着するが、ガスが濃くなり音だけで豪快な噴煙は見えない。諦めて牛ヶ首まで戻り、姥ヶ平に下る。降りる間にガスが切れれば良い景色が広がるはず、と風向きが変わるのを祈りながら高度を下げる。草花類は少ないが、シャクナゲが咲き出している。全判に花芽は少ない。周りの木々の背丈が増してくると、広く平らな砂地の姥ヶ平に着く。秋にはこの当たりが撮影ポイントとして写真家が大勢集まる所。上部を見ると雲が益々濃くなっている。

 コンビニおにぎりを食べ、汗を乾かしながらの大休止。30分程待っても、薄日は射すがガスは取れない。終了!と自分に号令をかけこの場を後にする。直ぐ近くにひょうたん池があるので、木道を進むと湿地にニッコウキスゲが一輪咲いていた。小さな池を数分眺めて戻り、三斗小屋に続く分岐から沼原へ進路を取る。分岐からは、背丈ほどの凹凸を繰り返しながら下っていく。ツバメオモトはまだつぼみ、マイヅルソウの葉っぱが下草として広がっている。大きなカンバ林は見事である。


沼原湿原

見事な群落
 カンバの林が途切れる頃から、土がむき出しの不安定な急坂が所々に現れ滑らないよう慎重に下る。日の出平からの分岐を過ぎ程なく、駐車場への近道の分岐が現れる。駐車場へは行かず、沼原湿原方向へ進む。雑木林に続く安定した道を進むが、以外に距離があり道を間違ったような気分になる。20分近く歩いたような気がすると、やっと林の中にハイカーが見えて湿原に到着する。

 湿原は木道が整備され、沢山のハイカーで混み合っている。道の様子が分からないので、とりあえず林の中から明るい方向へ出てみる。すると沢山のニッコウキスゲが現れ、コバイケイソウも見頃になっている。小さな尾瀬と言った雰囲気に感激しながら、散策を開始する。混み合ってすれ違いも大変だが、すごい!絵になる光景が意外に広々と広がっている。心残りだが汗が乾ききっていないので迷惑をかけそうと思い、20分ほど散策して駐車場へ進む。15分ほどの緩い登りに、最後の力を込めて駐車場に戻る。 最後に取って置いた湿原、那須南部の登山を含め、変化に富んだ面白い周遊コースとなった。次は三斗小屋温泉に泊まってみたものだ。 阿部 記

コース時刻:駐車場8:00−9:18白笹山9:26−10:01南月山10:21−10:02牛ヶ首−10:08噴煙下−牛ヶ首10:20−11:36姥ヶ平12:00−12:21沼原・三斗小屋分岐12:23−(ひょうたん池・往復込み)−13:00日の出平への分岐13:07−13:26沼原湿原−13:58駐車場

2005.9.10

 沼原−南月山


沼原登山口

笹原山尾根


カリヤスモドキ

イワインチン

 9月10日に那須の山へ登りました。当日の朝、「私も行きたい」と家内が言い出して、これで出発は大幅に遅れることを覚悟。予想通り自宅を出たのは観光旅行に出かけるような8時45分。峠の茶屋駐車場は改良されて駐車スペースが大幅に増えたけれど、すでに満車。おまけにパトカーが路肩駐車を取り締まるべくウロウロと走り回っている。仕方なく有料道路代360円を捨てるように支払い、沼原へ向かう。ここから白笹山、南月山、日ノ出平を経て沼原へ下山する周遊ルートを目指す。

 沼原を出発したのは11時10分になっていた。白笹山はシロヤシオとアヅマシャクナゲが綺麗な山だが、樹林の中を歩くため、視界はなく単調な登りを強いられる。昨年の高松岳以来という家内は、日頃から霜降りたっぷりの松阪牛を育てるかのごとく、食べて、飲んで、寝ての生活で全身に汗をかいて、「これからはトレーニングしよう」とか実践しないことを口走りながらコースタイムなみのペースで登る。何とか白笹山の山頂に到着。1719mの標識があるだけで、視界はない。

 白笹山と南月山を結ぶ釣り尾根は気持ちの良いルートで、尾根沿いに育つ幹が曲がったトウヒ?の並木が印象的だ。ナナカマドの赤くなった実に秋を感じつつやっと南月山1776mに到着。繁殖実験しているコマクサの株を見てから、遅い昼食をするために山頂を少し下がったところで店を広げる。晴れていれば茶臼岳が正面に見える場所だが、今日は生憎ガスって視界はない。景色はなくとも山頂で飲むビールは旨い。

 南月山の尾根は今時、イワインチンが多い。この花は浩宮様もこの尾根でカメラにおさめている。もう一つ、ここで一面に咲くコキンレイカはすでに終わっていた。茶臼岳の今を彩るカリヤスモドキが風になびいている。このカリヤスモドキは昼下がりの茶臼岳の中の茶屋跡付近で逆光に穂が乱反射して一面に輝く様は、本当に素晴らしい。那須の花であるリンドウも所々に咲いていたが、今回のルートではイワインチンとトリカブトがメインであり日ノ出平で咲き残ったトリカブトをカメラにおさめる。

 天候も怪しくなってきたので、姥ヶ平へ回らずに日ノ出平から沼原へ抜けるルートでそそくさと下山する。このルートもシロヤシオ、ダケカンバが美しく、新緑、紅葉時期は綺麗だがまだ黄色く染まる状況にはなかった。那須の山も紅葉の準備を進めているようだが、真っ赤に染まるのは例年通り10月10日過ぎだろうか。  沖 記

コースタイム:沼原11:40---12:50白笹山13:00---13:45南月山(昼食)14:25---14:55日ノ出平15:00---16:30沼原


2002.6.10


荒々しい山容の朝日岳

茶臼岳山頂、中央奥に飯豊連峰

牛ケ首から茶臼岳

白いイワカガミ(右)がいたる所にあった

峠の茶屋−南月山

  運良く、前日が日勤となり6月10日那須方面に出かける。高曇りではあるが、見通しも良く高速道を北上する。一時間半ほどで峠の茶屋前の駐車場に着く。

 新調されたロープウェイを横目に、旧峠の茶屋小屋を目指し登り始める。日差しは無いが、見通しも良くムラサキヤシオツツジの咲く道を心地よく進む。右手には朝日岳が荒々しく迫り、左手には茶臼岳も迫ってくる頃には、イワカガミのピンクの花も現れ久しぶりの那須を実感する。

 峠の小屋付近は相変わらず強風が吹き、これからの茶臼岳方面も強風だろうと帽子をホッカムリで縛る。分岐に着くと見通しが開け、女峰山から太郎山、白根山、燧ヶ岳、会津駒ヶ岳等々の素晴らしい展望が開けた。これだけでも大満足だが、さらに茶臼岳に向かう。敷き詰められた石段を登り、ゴツゴツした岩場を進むと再び視界が開け郡山から黒磯方面がハッキリと見える。釜の縁を右回りに進むとすぐに山頂の鳥居と祠が現れた。

 山頂上空は高曇りだが360度の大展望が開け、日光方面は勿論、飯豊連峰、吾妻連峰等々素晴らしい景色が堪能できた。釜の縁の分岐付近からは、猪苗代湖の東側一部も望めた。昼飯にはまだ早く、昨年とは反対側の南月山を目指すことにしてロープウェイ乗り場側に一旦下る。

 鉢巻き道に入りやや平坦な道を進み、牛ケ首に出ると茶臼岳山腹から轟音を響かせ吹き出す噴煙が迫っている。ここで小休止を取り、日の出平に進む。標高差にして30m位しかないが、結構息が弾む。こちらは背の低いムシカリやヤシオツツジ、アズマシャクナゲなどに覆われ、荒々しい岩場はなくどこか東北の山を思わせる。日の出平付近にはミネザクラの群落があり、5月中旬頃には桜の花見が出来そうだ。

 さらに南月山に進む道は、溶岩の道と呼ばれ灌木も背の低い物に変わりやや平坦な道となった。広く散らばる粒の小さい溶岩のザレバを20分ほど進むと南月山に着く。振り返ると茶臼岳の荒々しい山肌に日の出平方面のブッシュ帯の新緑が、対照的にマッチして素晴らしい景観になっている。ここで昼食を取り、のんびりと360度の展望を楽しむ。帰りは牛ケ首から茶臼を巻き峠小屋に出る。

コースタイム:駐車場−0:40−峠小屋−0:35−茶臼山頂−0:30−ロープウェイ分岐−0:20−牛ケ首−0:20−日の出平−0:20−南月山(休憩含まず)