至仏山 2228.1m  尾瀬ヶ原 約1400m

H21.7.25

       尾瀬ヶ原・至仏山 (片品村・尾瀬戸倉、鳩待峠口)


鳩待峠 入山口
 日本海沿岸を日本列島沿いに前線が停滞との悪天候の予想に、週末予定の山行が延期となった。しかし片品方面は、最悪でも曇りとの予報で尾瀬方面に出かけてみる事にする。尾瀬は行こうと思っても小雨がぱらつく予報で、2週ほど出かけるのをためらっていた。ニッコウキスゲの最盛期は終わっているとは思っても、かすかな期待を伺わせるネットの誘い。別の花々は、まだ大丈夫だろう・・と、青森山行のパッキングを日帰り用に切り替える。


上田代にて
 5時自宅を出て、コンビニで朝食と昼食を調達。順調に国道120号に乗り、尾瀬戸倉には7時30分少し前に着いてしまった。時期がづれてしまったことを伺わせるかのように、駐車場はかなり空いていた。シャトルバス(所要約35分)も間隔が大きくなり、出発は7時45分となった。結局、鳩待峠着は、8時20分頃となってしまった。


右上 オゼコウホネ

主なお花郡
 いつもの賑わいはなく、バスを降りてそのままゲートを通過して一路山の鼻を目差す。曇ってはいるが時折薄日が射して、この先の天候回復を期待しながら小さな列に続く。心地よい風に、ビッシリと実を付けたブナの枝が揺れる。至仏方面のすそ野が雲から肩を出してきた。でかい葉っぱのミズバショウの脇では、サワギキョウの花芽が大きくなっている。8月に入れば満開となるだろう。約50分で山の鼻に到着、一服立てて牛首方面に向かう。

 木道のハイカーの列は比較的閑散としており、これがベストの人出模様か・・と心地よい風を感じながら快適に進む。咲き残りのニッコウキスゲやクルマユリが少し寂しく咲くが、トキソウやサワラン、ヒメシャクナゲはまだ元気だ。キンコウカが、咲き出している。川上川を渡り、最初の拠水林を過ぎると、ナガバノモウセンゴケが花盛りだ。前方の燧ヶ岳は霞んではいるが、全貌を見せている。振り返ると、至仏山も全貌を表し日が射して明るく輝いている。正に、絶景である。


上田代より至仏山
 上田代の池塘郡のヒツジグサは、咲き出す寸前のよう・・。いつものポイントで撮影を済ませ少し進むと、澄み切った池塘に優美なオゼコウホネが数株咲いていた。池の濁りは全くなく、底までクッキリと見えている。多少は期待していたが、丁度見頃のコウホネに出会えるとは、とてもラッキーである。11日のシモツケコウホネには浮いているハート方の浮き葉は無かったが、オゼコウホネの全貌を観察し出来て大感激。


研究見本園付近・キンコウカの群落
 上の大堀川には、バイカモがビッシリと漂っている。花芽らしき物は付いているが、咲くのはまだ先のようだ。しばしトキソウやキンコウカ等々を眺めて進むと、牛首分岐に着く。ヨッピ吊り橋に続く木道の先には、キスゲの群落が有るはずだが黄色い物が見えない。・・どうやら、ニッコウキスゲの最盛期は終わっているようだ。ベンチに座り一服立てていると、雲の切れた至仏山が誘っている様に見える。よす!時間はたっぷりある、花々も丁度見頃だろう・・戻って至仏山に登ろう・・と引き返す。


至仏山中腹より尾瀬ヶ原
 再び山の鼻で一服。気持ちがハヤって3分ほどで腰を上げ、至仏方面へ進み出す。しかし研究見本園の池塘が気になり池を覗く。咲き出したヒツジグサに混じり、再びオゼコウホネの花を見つけ鑑賞する。結局、至仏山の出発は10時10分過ぎとなってしまった。こちらのコースは、保護の関係で上り専用とうたってある。殆ど人影のない鬱そうとしたクロビの林は、風通しが悪い。すぐに大汗が沸き出してくる。余分に体力を消耗していたせいか、なかなかピッチが上がらない。何とか森林限界を突っ切って大休止。尾瀬ヶ原や燧ヶ岳に会津駒ヶ岳と、絶景が目にしみる。上を見上げると先ほど追い越された若者二人の姿はもう見えない。


至仏山 山頂
 ニッコウキスゲの小群落は今が花盛り。滑りやすい蛇門岩の急登を、慎重に高度を稼ぐ。山頂方面の雲の動きが激しくなっているようだが、雨はこないだろうと、ヒンヤリした風に励まされながらバテ気味の体にムチを入れる。角材の階段が始まると、周辺は高山植物のオンパレードが始まる。東北でよく見る花に北アルプスでも見かける花が混在している所が、目を飽きさせない。山の鼻からの標高差は約880mで、早池峰山を登る感じだが距離は長く、立ち止まる回数が増えてきた。昼飯時はとっくに過ぎていたが、朝からコンビニおにぎりを2個しか食っていない。水も底を突き、山肌側からの沢水をペットボトルに補充し3個目のおにぎりをほうばる。

 すぐには回復しないままに、更に木の階段を登ると広い休憩スペースのあるお花畑となる。ここからは、やや緩い登りとなるが山頂近くは蛇門岩と泥が田圃状態で続く。前日までの雨が道を腐らせているようだ。13時33分、至仏山山頂。15名ほどの登山者で、混み合っている状態ではないが、撮影をして休まずに下り方面のピークに進み大休止を取る。関越国境方面は、前線の影響か黒くどんよりして視界はない。心地よい風は有るが先ほどの雲は取れて、日が射して汗はなかなか引かない。


小至仏山を望む
 10分ほど休んで、下りに取りかかる。蛇門岩のデコボコの落差が大きく、間に泥が仲間入りしてとても滑りやすい。花々の観賞も程々に慎重に下る。登山道には人々の長い列が出来ることはないが、足場の不安定な場所では少しの時間待ちとなった。小至仏山を少し下ると、やっと残雪が融けたお花畑となる。オゼソウやチングルマが丁度見頃で、しばしのお花鑑賞。最後の小湿原で大休止を取り、森林帯は黙々と下る。鳩待峠駐車場には、ツアー客用マイクロバスが10台程になって人々で混雑していた。名物の?なんとかジェラード・アイスを舐めながらのどを潤し、早々にシャトルタクシーに乗り込み帰途に就く。

 最近の気象予報は、スパーコンピュターでも予想が出来ない模様。思っていた以上に天候が回復して、快適な山歩きが出来た。期待のキスゲにはほど遠かったが、まともにオゼコウホネが見られたことは大収穫となり、至仏山の植物郡にも大満足の一日でした。予報が外れて良かった・・よがったぁぁ・・。  阿部 記

コース時刻:鳩待峠8:22−9:12山の鼻9:17−9:57牛首分岐10:02−10:38山の鼻(研究見本園散策込み)10:52−13:33至仏山13:44−14:20小至仏山14:28−16:00鳩待峠

H19.10.7

  至仏山 尾瀬国立公園となって初めて行ってみました。

 6日、紅葉の下見に行く予定が、藪用で7日になってしまった。天気予報では6日が良かったはずだが、7日日の方が早朝から快晴となりかえって良かったようだ。5時自宅を出発、国道120号を尾瀬戸倉へと快適に進む。7時50分頃戸倉スキー場に到着して、早速バス(乗り合いタクシー)に乗り込み8時15分には鳩待峠に着く。


山の鼻へ下る道
 尾瀬の草紅葉は丁度良いが、木々の紅葉はまだ早いと思い標高の高い至仏山へ登ってみることにする。至仏山の通称東尾根登山道は、今年から登り専用となった。南尾根のピストンより楽しめそうなので、一度山の鼻に降りてから至仏山に登ることにする。8:16鳩待峠を出発すると、連休の二日目と好天気がたたり木道は数珠繋ぎ。なかなか歩調が合わず、チンタラ・チンタラと下る。子供連れのハイカーも多く、なかなか賑やかで歓声を聞きながらのんびり進む。


山の鼻から至仏山
 漆の類は赤く染まっているが、ブナ類はほんのり色づき始めたばかり。ただし、先日の台風に葉が揉まれたせいか、葉が傷つき一部は枯れ葉色になっている。風当たりの良い場所の紅葉は、期待できないだろう。木々の合間からは、少し色づきはしめた至仏山が見えて期待できそうだ。それにしても、ニッコウキスゲの咲く夏場のような人出、こんなにも自然愛好家がいるなんて驚きだ。


オゼコホウネの生殖する池塘(山の鼻池内)
 9:05山の鼻に到着する。殆どの人は尾瀬ヶ原方面に行くようだ。少し、尾瀬ヶ原を見てこようと思うが、この人出で時間を浪費しそうなので諦めることにする。ベンチで一本立てて、至仏の登りに取り付く。向かった人、後から来る人も殆どいない。静かな登りになるだろうと期待して進む。がぁ、上から人の気配。植生保護のための取り決めは守られず、どんどん下る人が現れてすれ違いも大変だ。どこまで登り専用登山道と宣伝しているのか解らないが、法令で規制するわけではないので仕方のないことかもしれない。が、もう少し決めた方が頑張って欲しいものだ。

 直径1m位のくろ檜(クロベ)の大木が少なくなり、いよいよ森林限界が近い。周りの広葉樹の葉に日があたり、赤や黄色に輝きだした。標高1600m付近の背の低い灌木の紅葉は、丁度見頃になっている。北東斜面のせいか、鳩待峠より紅葉が進んでいるようだ。石を敷き詰めた道や木の階段が交互に現れ、ドンドン高度を稼ぐ。やがて至仏山特有の赤茶けた蛇紋岩の続く道に変わる。石に乗り、少しでも重心をづらすと良く滑る。踏みつけられた回数が多いと思われる石の表面は、鋼鉄色に光っている。慎重に・・慎重に足を運ぶ。


森林限界付近より燧ヶ岳
 最初に現れた角材のベンチに着く頃には視界も完全に開け、燧ヶ岳をバックに黄金色に輝く尾瀬ヶ原の大絶景が望める。ここで休もうと思ったが、先客で混んでいたので更に高度を稼ぐ。続き鎖場をクリアーして少し広いところで大休止をとる。日光連山や帝釈方面、会津駒ヶ岳に平ヶ岳等々、好天に恵まれ飽きのこない光景に大満足。ハイマツに混じりドウダンも色付いているが、どす黒い小豆色で今一発色が良くない。今年は至仏のドウダンとチングルマの紅葉は、赤の発色は良くないかもしれない。

 多くなった登山者と共に更に高度を稼ぐ。長い階段を登りきると、やがてやや傾斜の緩い高天ヶ原に着く。もう多くの登山者は昼食の真っ最中だ。朽ち果ててもピンクの残るタカネナデシコやホソバノウスユキソウがドライフラワー状になっている中、更になだらかな木道を進む。小至仏山からの斜面も紅葉で見事である。道が泥で腐り出すと、背の低い灌木とハイマツに蛇紋岩のせり出す山頂が現れる。


混雑する至仏山山頂

山頂より越後方面を望む
 11時半過ぎ、足の踏み場もないほどの登山者で賑わう山頂に到着。やや広い頂上だが、これほどの人々が集う風景は想像すらしていなかった。立ったまま写真撮影をして、次のピークへ移動してゆっくり景色を堪能する。南側の関東平野方面は雲に包まれているが、苗場山からぐるりと回り手前の武尊山あたりまで約300度の一大絶景が堪能できた。ここまでの大展望は、初めてのこと。ビデオに納めながら、何度も何度も絶景を脳裏に焼き付ける。

 12:12、鳩待峠へ向けて下山開始する。下る人々の途切れるのを待っての下山だが、少し進むと直ぐに後がつかえてしまう。じれったい、蛇紋岩に足を取られなかなか進まない様子。小至仏山を過ぎたところで、道が空くのを待つことにする。同じ事を考えた同年代の単独行者と、愚痴をこぼしながらしばらくの大休止となる。しばらく人々の途切れたところで再度歩き出すが、10分も進むと又先がつかえる。同じように数回待ちを入れて何とか進むが、ツアーの団体には諦めて付いて行くしかない。

 やがてシラビソ林が現れ、森林帯に入る。ブナの大木は黄色に変化しているが、葉の周りが擦れて枯れ葉色。これ以上の色づきは期待できそうにもない。高度が下がると、ナナカマドの真っ赤な実が大空に映えている。葉は傷も少なく、やがて真っ赤に染まりそうだ。更に下ると、ブナにへばりつく真っ赤に染まったツタ漆に、ツアー客の視線が止まったようだ。最後の待ちぼうけかと思うが、道をあけて貰いすんなりと鳩待峠に到着する。


秋空と小至仏山
 鳩待峠の広場はツアー用バスと人々に埋まり、まるでお祭り騒ぎ。広場を横切るのにも、まるで藪こぎをしているみたい。何とか山荘側に出て一服たてるが、良く見るとバスの切符を買うにも、バス待ちも長蛇の列のようだ。慌てて列の最後尾を探して後に付く。結局、鳩待峠に着いてからバスに乗り込むまで約1時間の待ちとなった。ハッ!と思って待つ峠、これが本当のハトマチトウゲかぁぁ・・。やんだ、やんだ・・この様な時期には絶対来ないことにしよう。

 尾瀬戸倉を出発したのが4時、順調に戦場ヶ原まで来たが、再び渋滞で待ちに入ってしまった。紅葉の真っ最中は外したつもりだったが、よく考えれば世間は3連休中。ヤッパ!連休は避けるべきだった。5時から渋滞、清滝に出たのが6時50分頃。この先まだまだ渋滞が予想されたので、いつも通る滝河原峠越えで鹿沼へ入る。・・至仏山、全面紅葉には少し早かったが、今年の色づきを考えれば一番いい時期だったように思える。大満足の一日でした。 阿部 記

コース時刻:鳩待峠8:16−9:05山の鼻9:18−11:37山頂12:12−12:57小至仏山13:10−14:40鳩待峠(小休止時間込み)、シャトルバス(小型バスや乗り合いタクシー)乗車時間・約20分、バス代・片道900円  



   至仏山(2228m)  2005.7.17  花の季節の至仏山・尾瀬ヶ原


小湿原

小至仏山への登り(上部より)

小至仏山

コルより至仏山方面

至仏山山頂

研究見本園にて

研究見本園にて
 7月1日に入山規制が解除され17日、花の見頃を向かえた至仏山に出かける。5時自宅を出発、戸倉スキー場に7時40分頃到着。駐車場は9割がた埋まっていた。今シーズン最高の人出のようで、尾瀬ヶ原方面の木道は数珠繋ぎになるかもしれないと思いながら鳩待峠に着いて、広場に隙間がないほどの人出に驚く。

 登山口に立っていたおばさんに登山者カードの記入を勧められ、登山道の状況を聞かされてイザ出発。さすがに登山者は少ないと感じながらしばらく樹林帯を進むと、いるいる5−6人のパーティが数々前方をふさぐ。殆ど傾斜がない中を黙々と進み、秋口なら富士も見える場所にさしかかるが、ガスで武尊山も裾野しか見えない。木道の切れた所は道がぬかるんで靴が見る見るうちに泥だらけになる。

 やがて小さな湿原が現れ見通しが開ける。ガスは相変わらずうっすらとかかり、鳩待峠や富士見峠がやっと確認できる。この辺から高山植物が多くなり、遠方から足下に目を移し初夏の花々の鑑賞に移る。小休止後、多くなった登山者を交わしながら坦々と進むが、岩場では泥が足をすくい更に歩きづらくなる。

 オヤマ田代の湿原には、ワタスゲ、イワカガミ、コバイケイソウと割に少ない花に気を落とすが、小至仏山への登りにかかると名前を思い出す間もなく沢山の花々が顔を出す。とりあえずカメラに納め、次が次と現れる花々に感激する。小至仏にかかると、ならまた湖側から吹き上げる風が強くなるが寒さは感じない。登山者で満杯の小至仏山頂をかわし先を急ぐが、泥と岩に阻まれて数珠繋ぎとなり、下山者も加わり渋滞気味。写真を撮るための立ち止まりも出来ず、流れに身を任す。

 先ほどまで見えない至仏山山頂方面のガスも薄くなり、登山者の列も間近に見えるようになった。岩場で有りながら傾斜が緩いせいか、泥が岩場に溶け込み殆どの人が難儀している。登山者の靴は泥だらけ。二〜三歩、歩いて立ち止まりること数十分、やっとの思いで至仏山山頂に着く。

 座る場所が無いほど込み合い写真を撮って戻ろうと思うがまた渋滞に遭うと思い、山の鼻に下ることにする。うっすらと尾瀬ヶ原や燧ヶ岳も見えだし下山開始するが、山頂直下は泥田状態。それでも登ってくる人が少ないだけ、楽に歩ける。見通しも良くなり、数々の花々も眺め水たまりで靴を洗いながら余裕の下山。眼下の尾瀬ヶ原には、まだまだキスゲ?の黄色い帯があちらこちらに見える。先を下るパーティを何回か追い越し、坦々と下る。樹林帯に入ると間もなく、ぽっかりとトンネルから出たように明るくなり、山の鼻の湿原に出る。

 キスゲ、サワラン、ヒオウギアヤメ等が満開状態。キスゲの群落もすごいが、ハイカーの群落?もすごい。渋滞ぎみの木道を研究見本園沿いに周遊し、山の鼻に着くと各小屋の周りはお祭り状態。人人人・・・尾瀬ロッヂまで進み、座る場所を見つけてビールで遅い昼食を取る。13時45分、鳩待峠に向けて出発するが失敗した、数珠繋ぎかなかなか進まない。対向者がない時に左に反れて追い越すが、なかなか時間を稼げない。結局流れに身を任せ、チンタラ・チンタラ進むが、結果的に休憩を取らなかった分ほぼ通常の時間で鳩待峠に出る。

 しかし、これからが大変。乗車チケットの買い出しに行列待ち30分。バス乗車待ちに20分と、鳩待峠だけにハアァァァ・・ト、待ち時間が長い峠って事のようだ。尾瀬方面は天気の悪い、平日に行くのが一番良いようだ。  阿部 記

コース時間:鳩待峠8:25−9:11小湿原9:20−10:11小至仏山−10:50至仏山10:55−12:55山の鼻湿原−13:10山の鼻13:45−14:44鳩待峠


小至仏山の登り

  2002.10.27  秋の至仏山−尾瀬ヶ原

 10月27日、マイカー規制が解除された鳩待峠より至仏山に登る。8:20鳩待駐車場には、約40台の乗用車が止まり人気の高さが伺われる。殆どは尾瀬ヶ原方面に下った様だ。

 8:30至仏山に向け出発する。コメツガの混じる樹林帯は葉も落ちて見通しも良くなっているが、山頂方面はガスがかかって見えない。1886.9mピークを左側に巻き高度が増すと、武尊山左肩奥に真っ白く雪をかぶった富士山が見えた。木道と木の階段の混じる道は比較的なだらかで、歩きやすいコースで初心者向けかもしれない。


山頂からの展望(中央左の明るい茶色部が尾瀬ヶ原)

 約1時間後、小湿原が現れ見通しが開けて尾瀬ヶ原が眼下に現れた。テーブル状の大きな岩に腰掛け、雄大な景観を楽しみながら小休止をする。ここから少し登ると再び湿原が現れ、森林限界も近い。ならまた湖方面の分岐を過ぎると山頂のガスも切れだし先を急ぐ。

 森林限界から上部は、早池峰山の小田越コースを連想させる岩場が山頂まで続く。傾斜のきつくなった岩場には撤去された柵があるだけで人工物はなく、自然のままの岩場を慎重に高度を稼ぐ。程なく小至仏山の頂きに出る。夏場には、このあたりから高山植物の花が綺麗らしい。少し下り気味に進み、再び緩い登りが続く。尾根は冬山の装いで、付近の灌木やはい松には霧氷がビッシリと付き、風もかなり冷たい。越後方面の山々は白く雪をかぶっている。ならたま湖周辺の紅葉が対照的に輝き、冬と秋が同居している。冷たくなった頬の左側を手で覆い、寒さを忘れて絶景を見回しながら山頂に急ぐ。


笠ヶ岳分岐下の湿原

燧ヶ岳と尾瀬ヶ原

至仏山

牛首付近の拠水林と燧ヶ岳

 割に広い山頂には8人ほどが先着していたが、寒いため早々に下山する人もいる。山頂からは360度の展望が利き、越後の山々や谷川岳、武尊山、皇海山、男体山、白根山、等となど割に近くに見えた。しばらく大展望を満喫して軽い行動食を取り、再開された至仏山コースを山の鼻へ向けて下山開始する。直登コースとのこともあり、かなり傾斜がきついが、木の階段が整備されて尾瀬ヶ原方面の展望も終始開けて、途中クサリ場があったりのなかなか良いコースだ。森林限界付近で展望を楽しみながら、昼食を取り更に下る。

 山の鼻の小屋は全て店じまいをしているが、ビジターセンターだけは11月4日まで営業する予定のようだ。ここに来ると、ハイカーも増えて結構にぎわっている。時間があるので、上田代を散策する。上田代には池塘が数百個も点在して、赤や黄色に色づいたヒツジグサが浮かび色を添えていた。一部の木道が回収修理されていて歩きづらいが、晩秋の池塘群や真っ白に輝くシラカンバの眺めも抜群で、初夏の尾瀬ヶ原を連想しながら堪能する。

 再び山の鼻に戻り、鳩待峠に進む。殆ど標高差はないが、約2/3進むと階段が現れて少しきつくなる。山行の締めくくりとしてはちょうど良いアルバイトだ。

 駐車場に戻ると、係の人が駐車料を集金していた。2500円支払うと、1000円の商品券を渡されて大喜びする。早速鳩待の店に戻り、お土産を購入するが更に200円の出費、儲かったのは・・・。今年度は11月4日まで入れそうだが、それ以降は各車道も閉鎖される。紅葉は、戸倉付近がみごろ。尚、28日から29日にかけて雪が積った様なので、出かける際はゲート等の確認が必要。  阿部 記

コースタイム:鳩待峠−1:50−小至仏山−0:35−至仏山−1:40−山の鼻−1:00−鳩待峠(休憩時間込む)