須金岳 (1241m:宮城県大崎市鳴子温泉鬼首)
2008(H20).10.12
須金岳の登山道は大きく分けて二つのルートがあり、一つは仙北沢から入る大森コース、もう一つは今回歩いた寒湯沢から入る寒湯コースがある。寒湯コースは上ノ台から寒湯沢の手前の林道を800mほど入ったところに登山口がある。しかし林道は悪路であり、車高の高い4駆でなければ通行できない沢を横切るため、我が車はその沢を渡れず、フロント部が沢の石にぶつかって前進できなくなり、やむなくバックで引き返して一台だけ駐車できるスペースを見つけて、そこに駐車して山の仕度をした。
さて何とか登山口に辿り着き、指導標に沿って登山道に分け入る。のっけから急斜面で閉口するが、とにかくしっかりした登山道が上に延びている。杉、樅、クロベの針葉樹、ブナ、ミズナラなどの広葉樹が混成する気持ちの良い急坂をゆっくりした足取りで登っていく。針葉樹の多い林の中は陽の光も射さず、薄暗い中に木洩れ日だけが際立って明るくスポットを浴びたように輝いて見える。 登山道は良く刈り込まれていて非常に歩きやすく、林道も登山道並みに整備してくれていたら有難かったなと贅沢な苦情をつぶやいている。樹木の紅葉にはまだ早いが、中には既に紅葉の真っ盛りを迎えた木もあって、目を楽しませてくれる。葉っぱは逆光で透かすと葉脈まで浮き上がって幻想的に見えるが、それをカメラに収めてみるが、なかなか思ったような写真にはならない。 クロベからいつの間にかブナの森に移っていく様子は先週の山でも同じようであったが、ここでも巨樹を眺めながら急坂を登っていくうちにいつの間にかブナが支配的になっていた。カエデは真っ赤に色づくと派手で華やかだが、山吹色に染まってもそれなりに魅惑的で、美人は何を纏っても綺麗であるようにカエデもまた秋の林床の主役だ。そしてブナは頭上高くで黄色と茶色の微妙なブレンドに染めて輝いている。
八合目でやっと視界が開けて須金岳本峰に続く尾根が見えるようになる。また栗駒山も見えるようになった。よく見ると栗駒山と秣岳をつなぐ稜線から少し下がったところに大きく崩落しているところが見える。地図上では熊沢の上部が大崩落して土石が流れ落ちたように見えるが、これが湯浜温泉大崩落の痕跡なのだろうか。とにかく遠目で見てもそれと分かり、双眼鏡で見ると荒々しくて痛ましい。 須金岳の紅葉した斜面と栗駒山の全容をカメラに収めて、樹高も低くなり傾斜も緩くなってきた登りを山頂目指してゆっくり登っていく。九合目に到着、仮の山頂へはまだまだずっと先だが、これまで平均して一合当たり15分のペースで登ってきた。つまり後15分ほどで所謂最高地点に到着するのだろうかと甚だ疑問の残る九合目だ。もちろん真の山頂へ行くルートは見当たらない。ルート最高地点を目指して今までのペース配分で20分ほど歩いてみようと、そのまま西に向かってほぼ水平になった登山道を歩く。 真っ赤に染まったドウダンツツジが頭上に輝いている。葉っぱの下から逆光でカメラを構える。良い塩梅だ。幾つかの構図で自然の妙を記録にとどめる。下手な鉄砲も数うちゃー当たるってモンだ。一番高そうなこんもりした山の僅か下のところにミズゴケが敷き詰められた小さな湿地に出た。この湿地の先を少し進んだところで、どうやら最高地点の1241mに再接近した模様だ。その先は段々下っていき、虎毛山が小枝の隙間から至近距離に見えてきた。避難小屋もはっきりと見える。何だか尾根通しに歩いて行けそうな距離だ。
八合目が一番眺めが良かったので、遅くなったがそこで昼食を摂ることにした。風が随分冷たくなってきた。ちょっと霞が掛かった栗駒山を眺めながら、冷たい風を避けたところで定番のお握りとスープ、それに普段食べないような付き合わせがついた昼食となった。ひとりで食べる食事とは随分違って、やっぱり一味も二味も違って美味しくいただけた。
コースタイム:大東町摺沢6:00==(約110km)==8:30寒湯コース登山口8:50---10:00四合目10:05---10:20五合目---11:30九合目---11:45須金岳・ルート最高地点(1241m)彷徨12:05---12:15九合目---12:30八合目(軽食)12:55---13:25五合目---13:33四合目13:40---14:30寒湯コース登山口14:45==(鬼首温泉・間欠泉等見物、入浴:鳴子温泉早稲田湯@530円)17:30==20:00大東町摺沢 |