滝流しソーメン

20代のころに、須川岳に宮城県側から登った時の話です。
 定時に集合したのですが、聞くと昼食を誰も持ってきませんでした。仕方なく、途中で買い出しする事にしたのですが、当時はコンビニなどと言う店はありません。途中の集落にある店を見つけて入ったのまでは良いのですが、パンは古いし、腹持ちが悪いインスタントラーメンも美味そうなのがない、などとためらっていたら、ソーメンの束を見つけ、たまには変わったのもいいなと合意して買いだした。
 いつものごとく、樹林帯をワイワイ、ガャガャ登り樹林がすぎる頃には腹も減った。水場はまだか?。などと無駄口をはきながらドゾウ沢に着いた。
 なぜか装備だけはそろっている。早速、調理にかかり食べようとするが、「ソーメンだど、ひやさねぇば」の声に全員上部に雪渓の詰まった沢を見つめる。「これゃしゃけどー」と沢の泥落としにかかる。
 しばらくして、滝流しソーメの始まりである。一人がゆでたばかりのソーメンを上流から流す。「えぐどー」、二人が下流でつゆ入りのカップを持ちかまえる。「いげるどー、しゃつこくてうめー」と歓声を上げながらすくい上げている。ただ欠点が一つあった。沢を掃除したものの、すこし砂が入りジャリッとした。
 全員、須川岳を満喫したのは勿論だが、滝流しソーメンも満喫?して帰った。
 尚、本当の滝流しは、湧水のきれいな所で、7−8mの竹の節を取り除いたトイを利用して流す。