第91号(2001年11月9日)<グローバルスペース>
PFIからPPPへ
Private Finance Initiativeは、「民間」の「資金」を「皮切り」として行なう事業だから、財政的に手詰まりの官が民の資力をあてにする、利用するという響きがあった。一方、Public Private Partnershipは、「官」と「民」が「協力して」いく、すなわち官民対等の立場で社会資本を創り上げるというニュアンスがより明確になることから、先進地であるイギリスでは、すでにPPPと呼び替えられている。
ワークシェアリングの功罪
セキやんひとこと:こうしたやり方の根本は、PPPにあるのは間違いない。しかし、現下の日本の緊急課題である親方日の丸感覚からの脱却、すなわち「民の資金をあてにせざるを得ない」という状況認識を徹底するためには、PFIの発想で計画をとことん吟味し個別事業の実施主体を明確にすることが重要だ。
オランダでの成功は、同一価値労働・同一賃金の原則に徹した結果、正社員と短時間勤務者の業務遂行上のレベル合わせができ、パート社員の就業人口を増やしたことによる。肝心なことは、労働時間の減少に比例して一人当たりの賃金が減るという当たり前のことを、全国民が十分納得できるかどうかである。
また来日したジャック・ウェルチ氏(GE前会長)は著書の中で、−経営者は昔からコスト削減の常套手段として「一律」の支出カットや給与の凍結をおこなってきたが、これは「痛みを分かち合う」という耳当たりの良い掛け声に紛れ現実から目をそらすやり方で、最高の人材をきちんと処遇できなくなる−と述べている。
セキやんひとこと:給料分の働きをする、というのが経営者を含めた企業人の存在原則である。所得分配の不平等は資本経済の宿命だが、企業経営に分不相応の所得再分配の要素を持ち込むと必ず破綻する。この部分での企業の責務は、むしろ生産性を上げて社会的な所得再分配の原資である税をたくさん納めることに徹すべきで、それを公正に社会還元するのは政治や行政の役目と割り切ることだ。
<ローカルスペース>
公設民営の大学を端緒に
酒田市の東北公益文科大学は、総工費約140億円を県が55%と近隣14市町村が45%負担し、慶応大学が実質的に運営している。平成6年度に山形県の発展計画の主要プロジェクトに位置付けられ、平成13年の4月に開学した。県内から210名と県外から70名(岩手県からも9名)ほどの学生が集い、公益学(Community Service)という新しい分野の学問をしている。
おとなり鶴岡市には、バイオインフォマティクスの権威である冨田勝所長を擁する慶応大学先端生命科学研究所が立地し、最先端の研究にあたっている。さらに鶴岡市内の中心区域では庄内神社を含めてタウンキャンパスと銘打った公園整備がなされ、その中の新百間掘に囲まれた形で研究所のキャンパスセンターが自然景観のひとつの要素として溶け込んでいる。当然ながら、市民の出入りも自由で図書館も開放され、情報インフラはJGNジャパン・ギガビット・ネットワークなどで確保されている。
セキやんひとこと:庄内地域の長期戦略が奏功した例だろう。慶大の説明担当者によると、ここにきた理由は、市長はじめ地域の熱意だったとのことだ。地理的なハンディキャップを感じさせないシステムを構築しているところはさすがで、地方の豊かなハードと中央の最先端ソフトの融合がテーマの壮大な実験でもある。
第92号(2001年11月23日)<グローバルスペース>
わが経営〜ジャック・ウェルチ著 −下巻エピローグより−
あらゆる仕事に命を吹き込むのはすぐれた人材であって、すぐれた戦略ではない。われわれは膨大な時間を費やして、最高の人材の採用やトレーニングあるいは教育をおこない、報酬を与えている。多岐にわたる活動や事業の成功は、さらに成長しようとストレッチ(伸び)し続ける最高の人材を確保しないかぎり、その行き着く先は見えている。グローバル化はストレッチのもたらしたひとつの論理的帰結だ。
チャイナへようこそ
セキやんひとこと:経営の原則は、大小かかわらず一つしかない。それは、人間同士の信頼感に尽きる。
トヨタ自動車の張富士夫社長は、中国天津市でのシンポジウムで、中国を最大の投資先と位置付けている旨の宣言をした。これには2つ意味があり、第一に生産基地としての魅力も当然だが、何といっても13億人という世界最大のマーケットであることをしっかりと睨んでいる。一方、当の中国もWTO加盟もはずみにして、世界中からの資本の流れ込みについて、臆することなく大歓迎している。
セキやんひとこと:これから少なくても2008年の北京五輪までは、したたかな中国の本領発揮だ。
<ローカルスペース>
いわてベンチャーウィーク2001
岩手県内の新事業掘り起こしを盛り上げようということで、この13日の釜石でのプレイベントを皮切りに、県内各地で盛会裏に行なわれた。遠路はるばる沖縄県からも女性を含めた参加を得て、すっかり盛り上がった。堀紘一さんの辛口講演、増田寛也岩手県知事やIPO(株式公開)も間近な県内ベンチャーの雄ワイズマン南舘伸和社長等によるトークセッション、東北大学(元山形大学の仕掛人)大学院の堀切川一男教授のウィットあふれるユニークな講演、さらには大手監査法人の若手キーパーソンがコーディネートするビジネスプラン発表会、隠し玉の第2回全国コーディネート推進会議などが粛々と行なわれ、きょうも世界的に評価されているデジタル画像技術を駆使したDIG2001コンテストが催される。
活かせ地域資源、挑め新機軸
セキやんひとこと:昼のフォーマル部分にも増して夜のインフォーマル部分になると、いよいよご参加の皆さんの本領が発揮された。要は、各参加者が持って帰る何かが連携の絆になるのであり、そこが担保されて真の縁となる。いつか役に立てられるかな?程度で良く、あとは個別の感性による自己責任だから。
29日に江刺市で開催されるフォーラムの意図だ。東京エレクトロン東北の黒岩健吾社長、岩手発の製品開発にこだわりを持つ新高応用化工の高橋真幸社長、INSの牽引役である岩淵明教授によるパネルディスカッションを通じて、産学連携を活用した企業の新機軸挑戦の勘所を探るコーディネートをする予定。
セキやんひとこと:これからどうなるかの受身ではなく、これから主体的にど
うするかという議論にしたい。
また、30日にはINS主催の産学官コーディネータ養成セミナー、翌1日には女性の起業家セミナーで話しをさせて貰うことになっている。自分が関わるすべての行事において、積極的に参加される方々に対して、勇気づけと動機づ手けのお伝いをすることが望みだ。
第93号(2001年12月7日)<グローバルスペース>
エンロン破綻
アメリカの総合エネルギー会社のエンロン社が倒産した。日本でも積極的な投
資計画があっただけに、それらへの影響は必至だ。負債は2兆円弱でアメリカでも最大規模の倒産だが、エネルギー自由化の中で同社が果たした役割はおおむね好意的に受けとめられている。それは取りも直さず、本業以外への投資や不透明な簿外取引が基幹事業の足を引っ張った典型的な例だということを示している。
セキやんひとこと:この破綻で日本の大手銀行が損失を被るようだが、企業への融資ではなく事業単位でのプロジェクト融資という形が多いので、焦げつきが少しは軽くなるかもしれない。
<ローカルスペース(台湾の高雄バージョン)>
台湾選挙トピックス −ばっくんのメールより−
台湾の選挙戦は日本と違って非常に激しい一方で、成熟できていないということを実感しました。
激しさの方から紹介しましょう。選挙カーは少なくても4〜5台の隊列をくんでおり、候補者の名前を連呼するだけではなく、同時に爆竹と銅鑼や太鼓の演奏付きで、やかましいことこの上ないといった感じです。また、街中いたるところ、ポスターやのぼり、ビルの壁面を利用した巨大広告があふれ、選挙期間の街は繁雑で汚いような感じを受けます。選挙事務所も日本のように一箇所ではなく、非常に大きな本部のほかに、各地区に小さな支所があって、各事務所の前は道路を跨いだ横断幕や政党の旗などで祭りのような状態です。
つぎに未熟さの方を紹介しましょう。実は買票という金で票を買うことが当たり前のように行われているのです。今回の高雄では1票に500元(1800円)ほどが支払われていたようです。買票のうわさが多い候補者ほど得票も多い傾向があり、摘発された選挙違反の件数も約3000件に及んでいるそうです。過去の選挙では開票所を襲う事件も起きているそうで、各投票所を警備するために警官を7万人動員したそうです。
さらに日本人の私から見て異様なことは、街頭演説するのにわざわざ大きな舞台を作り、演説の前後には必ずきわどい格好をした女性が踊りや歌を披露するのです。聞いたところでは、これをしないと人が集まらないということでしたが、これには苦笑いするしかありませんでした。
また、一方で投票システムもまだまだ近代化できないようです。これは高齢者の文盲率が高く、日本のように候補者名や政党名を書いて投票すると不公平を招くため、投票用紙には候補者の名前のほか、顔写真と選挙戦が開始するときに決められた各候補者の番号が印刷されており、各候補者の空欄に印を押して投票するということでした。このため、今回候補者が多く出た台北県では投票用紙が幅15cm長さがなんと90cmにもなったそうです。笑い話のようですが、実
は日本人のわれわれは笑っていられないんです。なぜなら高齢者の文盲率の高さは日本統治に原因があるそうなのです。日本統治時代は日本語を習った彼らですが、まもなく生活で日本語を使うことはなくなり、字が無い言語である台湾語を使う生活になったそうです。彼らは中国語を習っていませんから中国語を使うこともできません。それから何十年もたった今、日本語を覚えている人も少なく、文字を読めない世代ができてしまったということです。この話を聞いて、戦争を体験してない私も素直に申し訳ない気持ちになりました。
セキやんひとこと:ばっくんの言う成熟していない部分は、残念ながら日本でも時々表れる。また、不幸な統治はのちのちまで禍根を残すから、アフガンもパレスチナも現地の人々の知恵を何とか結集させたい!
第94号(2001年12月21日)<グローカルスペース>
歳暮 −経世瑣言(続編)の一節−
ここにまた年が暮れる。しずかに思えば思うほど、驚くべき年であった。歴史にもかつてなかった大規模な、深刻極まりない世界的動乱の年であった。しかも年が明ければ、さらに如何なる風雲を捲き起こすか、はかり知られぬ陰惨な気を含んでいる。世界は如何になりゆくか、日本はいずこに往くか、われら如何にすべきか、それからそれと、人相応にみな思いを
馳せぬはない。何人も臍の緒切って以来、これほど感慨無量の歳暮に逢ったことはないわけで
ある。
1年の計は元旦にありという。元旦に当たって1年の計を立てるその前に、これほどの年を送るにふさわしく、何人も真剣な内省と奮発とを持ちたいものである。
まず自ら問え、われらの生活に純真な感激があったかと。この世界史的大変転期にあたって、限りなく上天の語り、人間の訴えるただ中に、われらの心胸はせめてどれだけの受信力でももち得たか。続発する意想外の出来事とその成行き、蝟集する身辺雑事のために、思慮も圧倒され、身体も束縛されて、心ならずもその日その日を逐われて暮らして来たのではあるまいか。
みな多忙であるが、それも感激の躍動にあらずして、混迷の狂躁に過ぎぬ多忙ではなかったか。狂人走れば不狂人もまた走る。われもその仲間ではなかったか。
天下国家を口にしつつ、実は激変する時世に埋没しまいとして、或いは風雲に乗じて快を取ろう、いわゆる功名富貴、手に唾して取るべしというような投機的利己心から、無知の良民を乱したようなことはなかったか。
遠謀深慮を誤って、観念の遊戯に耽り、書正論をほしいままにし、奇手妙策のつもりで、自縄自縛に陥っているようなことはなかったか。
自己の内面的貧困を偽り、衆人の前に空威張りせんとして、あらゆる神聖なものを舁ぎまわる山法師的所業はなかったか。平たくいえば、身のほども知らず、場所柄もわきまえず、もったいないことをしでかしているようなことはなかったか。
自分はさしたる才芸もなく、心より世をも思うことなく、これはという奉公も出来ぬ身でありながら、いたずらに世を呪い、人を怨み、不平を吐いて自ら喜ぶようなことはなかったか。考えれば神に、良心に、恥ずべきことは世に充満していよう。
感激は昂奮ではない。狂躁ではない。冷眼熱腸という語がある。真の感激は浄智を伴うものでなければならぬ。すなわち一身を投すべき大事の認識と同時に、日頃ふがいなくもとらわれていたつまらぬ俗事から解脱せんとする発憤努力があり、そこにまたひそかに神の恵みたまう法悦を含み、倦むことなく、たゆむことなくしてはじめて真の感激である。感激の大事が高まるほど、労苦とともに衷心の喜びも深まり、綽綽たる余裕をも生じる。感激感激という言葉がいたるところ人の口をついて発するが、多くは真の感激にあらずして、一時の昂奮に過ぎぬ。昂奮はやがて疲労、銷沈、瞋恚、愚痴、怨嗟などに陥ってゆく。ゆえに志士も忿争し、官吏は抗民の気を昂ぶらせ、民衆は反官的風潮に駆られるのである。
セキやんひとこと:ケイセイサゲンは昭和10年代に刊行されたが、その時代状況の酷似は驚くばかりだ。年の瀬のあわただしい時だからこそ、少しばかり余裕を持ちたいものだ。そして、良い年をお迎え下さい!
第95号(2002年1月4日)<グローバルスペース>
ビジョナリー・カンパニー
日本でも勢いが止まらないスターバックスコーヒーの米国本社O.スミス社長は、急成長にも拘らずストックオプションに無関心で、「結局正しい人を雇えば企業は成長し、間違った人を雇えば停滞する」と語っている。HP社の創業者であるD.パッカード氏は「優秀な電子機器で社会貢献する」と言い、質素な暮らしを全うした。著者は、こうした事例を引きながら、94年に出版された同書の中で「理念に裏打ちされた未来志向(先見的)の企業でなければならない」と既に22世紀の企業像を丹念に予見している。
ユーロ貨幣が流通
セキやんひとこと:ジェームズ・コリンズ氏は、この著で40代前半の若さながらビジネス書古典の座を得、スタンフォード大の教授から早くも転身し、現在は経営研究所を主宰している。さらに、持論を地で行く「ビジョナリー・パーソン?」を体現している。舌鋒鋭く、安直な企業合併や手段と目的を取り違えたネット・バブルの破綻も当然の帰結とし、起業によるリワード(報酬)指向には自ずと限界があると指摘している。
ちょうど2年前の本ニュースでユーロの話題を取り上げたが、その後の紆余曲折を経ていよいよ通貨のやり取りが始まった。壮大な実験に着手してから3年で、超国家レベルと実感レベルがようやく融合する。
農水省(空廻り)DB特需
セキやんひとこと:ここまでのヨーロッパの堅実さは、さすがだ。この崇高な実験の成功を祈りたい。
狂牛病の影響は深刻だ。農水省は牛に背番号を付けるという。生まれてから死ぬ(屠殺される?)までをデータ管理するという。ところが、地方では既に永久背番号でデータ管理している自治体も少なからず存在しているにも拘わらず、あくまでも死んだら番号を繰り返し使用する方式に固執しているようだ。
セキやんひとこと:コンピュータの特徴はそもそも計算能力やデータの特化にあり、背番号制はデータの個別把握による統制が目的である。今のコンピュータの高性能さを以ってすれば、永久背番号制が正しい。
<ローカルスペース>
道州制
岩手県の増田知事が積極的に進めようとしている。県庁を無くして、国と市町村を直結しようということである。その先駆けとして平成14年度に、市町村に事業と財源と人員をセットで委譲する予定だ。
市町村合併
セキやんひとこと:身近な自治体に任せることは結構で大いに推進してもらいたい。ただし、自立するには委譲する側にも受け取る側にも、責任と覚悟が必要であることを心底納得しなければならない。
国は積極的だが、手段と目的の取り違えが垣間見られる。又、脅したり透かしたりは程度の低い戦術だ。
セキやんひとこと:市町村は将来に禍根を残す選択をしてはならない。自ら判断の信義を問うべきだ。