Sekiyan's Notebook
グローカルニュース〜経営の腑
セキやん通信「経営の腑」
「経営の腑」第433号<通算748号>(2025年10月10日)
シンプル経営の勧め 〜自らの「管理会計」を〜
出典:岩手日報「いわての風」寄稿記事(第32回目 2015年9月27日)
事業経営の成り立ちを会計的に見ると、世間の皆さまにご支持され喜んでもらい得られた対価が「売上高@」です。@から材料費など外部からの仕入金額「変動費A」を差し引くと、「企業の付加価値B=自由に使えるお金」になります。
さらに、そこから人件費・内部経費・減価償却費といった「固定費C」を支払い、それで残れば「営業利益D」が得られ、マイナスになれば赤字で欠損金が発生します。
そして、欠損金が積み重なると債務超過(借金が総資産より多い状態)となり、取引先から警戒されます。
いわずもがなですが、そもそも経営は、お客さまのご支持を得て頂戴する対価がなければ成り立ちません。だから、真っ当な企業は、タナボタ的な補助金などに脇目を振らないのです。
そして、企業活動の自由度を高めるには、付加価値Bというものが重要なことも分かります。
これを増やすには、B=@―Aの算式から、売上高@を大きくするか、変動費Aを小さくするかしかありません。変動費は比例費とも呼ばれ、売上数量に比例する費用ですので、単純に「数量を増やす」作戦は、成熟市場ではうまくいきません。むしろ大事なのは「単価を上げる」工夫です。
これなら同じ売上数量で、自由に使えるお金Bが増えることになります。簡単ではありませんが、ここが優劣の分かれ目になります。また、変動費Aを減らしても、Bが増えるわけですが、気を付けなければならないのは、材料費をケチると飲食品の味が落ちるように、Aの節約が結果としてお客様のご支持を失う危険性があることです。むろん同等レベルなら、Aの低減努力も必要ですが…。
また、固定費Cは「売上に影響されない固定的な経費」ですので、過去の実績と当期の陣容から高精度で算出できます。
従って期首には当期の固定費が簡単に分かりますから、期中は想定した金額とのズレを確認していくだけで良いのです。
そして、B―C=Dなので、付加価値額Bと固定費Cがコントロールできれば、当然ながら営業利益Dが確保されることになります。
こうして、加減乗除という小学3年の算数で、経営の計数管理ができるのですから、「数字が苦手」という社長さんには、改心して貰う必要があるでしょう。
こうした極めてシンプルな考え方こそが「管理会計」の本質なのですが、このいかめしい名称の影響もあり、企業会計ルールの「財務会計」とは比較にならないほど、中小企業経営者にはなじみがありません。
しかし、あの京セラの稲盛和夫会長が若い経営者に向け「管理会計をしっかり身につけよ!」と繰り返し説いているように、「わが社がどうすればもっともうけられるかのヒントを得る」が目的の管理会計こそ、経営者の必須科目なのです。
ただし、管理会計には決められた様式がないので、いざ導入しようとすると迷ったり混乱したりします。たとえば、京セラの管理会計を御社でそのままマネしてもうまくいきません。
あくまでも「我が社の憲法」として社長自らが納得し「もうけのヒント」を得る自社のパターンを築くことが肝要です。
実際、旧来方式をかなぐり捨てて我が社の管理会計をシンプルに構築した結果、大津波で社屋を失った会社は2億円弱の債務超過を1期で解消しました。
また、原発の風評被害で苦しんでいた企業が営業利益率十%を達成し繰越欠損金解消のめどが立つなど、続々と驚異的な成果を上げています。これが管理会計によるシンプル経営をお勧めするゆえんなのです。
出典:岩手日報「いわての風」(2015年9月27日)寄稿記事へのリンク
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