第161号(2004年7月16日)
<グローバルスペース>
ロシアの行政改革は反動化? −日経ほか−
ロシア大統領府は、治安機関の連邦保安局(FSB)長官の地位を各省の大臣と同格に引き上げる大統領令にプーチン大統領が署名したと、14日発表した。FSBは大統領直轄の国家機関で、プーチン現大統領が1998―99年に長官を務めた。大統領令ではFSBの格上げは政権が進める行政改革の一環で「FSBの活動の効率向上が目的」とし、長官に3カ月以内に組織改革を実行することも求めている。
UFJと三菱東京が統合へ
セキやんひとこと:このところプーチン大統領の強権発動が目立つが、旧ソ連国家保安委員会(KGB)の国内部門を引き継いだFSBの格上げで、プーチン政権内で強硬派が発言力を増す恐れがあるようだ。
金融再編の仕上げとも見られる動きが急だ。14日夕方にUFJから三菱東京に正式に申し入れされ、約190兆円の総資産を有する世界トップのメガバンクの年度内統合をめざし、合併比率や枠組みやグループ名など詳細を詰めるための準備チームを早速発足させる運びとなる。
セキやんひとこと:自発的な金融再編であれば大歓迎だが、金融庁主導ならばノーサンキューだ。とりわけ地方の金融機関や政府系の金融機関にまで圧力を掛けるのは行き過ぎだ。とことん金融庁が責任を取ろうというなら、金融機関を全部国有化すれば良い。その点かのプーチン大統領が、政敵と目される石油会社を手中に収めようとするやり方は、善し悪しは別にして、品は良くないが分かりやすい。
<ローカルスペース>
農業所得の現状
東北農政局から発表された昨年の県内農家の1戸あたり総所得は705万円となっている。内、農外所得(会社勤めの給料等)388万円と年金贈与所得(共済含む)の242万円を差し引いた76万円ほどが農業所得である。これは作物収入214万円と畜産収入117万円を加えた農業粗収益323万円から経費である農業経営費247万円を引き算した残りである。
農学部の地域起業化講座
セキやんひとこと:昨夏の冷害の影響で稲作収入が前年比7%減となったことと高齢化により年金収入が増えているということだが、1年間の収支差額が76万円では、産業としての自立はほとんど不可能だ。世にいう「環境貢献」の側面からの評価分と産業としての付加価値分の切り分けが早急に求められる。
岩手大学農学部で行われた標記講座を昨年に引き続き3回受け持った。班分けして行ったワークショップで煮詰めた班代表の事業構想を最終講義で発表してもらったが、農家のための学習果樹園、カップラーメンとサプリメントを合体させた商品、高校生のためのプロテイン、家庭用の集合メーターボックス、便利なブラシなど、知恵を絞った事業プランが揃った。学生の間でも、健康、環境、安全は事業のキーワードだ。
セキやんひとこと:時間の関係で講義での説明は決して十分とはいえなかったが、30名弱の学生が受講し、班ごとのワークショップでは皆熱心に事業プランを説明していた。こうした経験や発想は、たとえ会社勤めをした場合でも、必ず生きる場面がある筈だ。学生諸君の前途に栄えあれ。
第162号(2004年7月30日)
<グローバルスペース>
VC(ベンチャーキャピタル)投資あれこれ
いわてファンドの先週のメルマガでも担当の熊谷氏が取り上げたが、日経新聞の小柳建彦シリコンバレー支局長の報道でもVC投資の回復傾向が鮮明になっているとのこと。4−6月が前年比17%増で3四半期連続の2桁増となり、四半期で50億ドル以上が定着したということだ。ちなみにITバブルのピークの2000年の四半期ごとに300億ドル弱飛び交った状況には比べようもないが、年間では200億ドル規模の安定した状況になりつつあるようだ。ちなみに日本国内でのVC投資額は、経産省の調査によると昨03年は前年比9%減の1650億円(約15億ドル)と、安定期に入った米国に比べても15分の1程度だ。
国内13品目で首位交代 −日経ほか−
セキやんひとこと:事業としてみると、出口部分の投資資金回収方法が気になるところだが、同じ経産省調査では、M&A等の売却が30%、経営者等への売戻しが27%強、株式公開25%、倒産が16%となっており、必ずしもVC投資イコール株式公開という図式ではないことが分かる。
日本経済新聞社は25日、2003年の「主要商品・サービスシェア調査」をまとめた。国内市場対象の100品目では昨年調査より3品目多い13品目でトップが交代した。競合製品と差別化した機能を盛り込んだヒット商品がけん引する交代が目立ち、デジタルカメラでは5年ぶりにトップが交代してキヤノンが首位。ルームエアコンでも長年トップの松下電器産業をダイキン工業が抜いた。 今回は、景気が回復に向かうなか、機能やデザインで消費者をつかんだ企業が上位に並んだ。DSL(デジタル加入者線)のソフトバンクグループなど、低価格戦略で躍進する企業が目立った前回とは対照的な結果となった。
UFJと三菱東京の統合、待った
セキやんひとこと:人間の本能である欲求段階からいうと、購買者心理の在り処は、@とりあえずあれば良い→Aより良いモノを→B他人と同じモノを→Cブランドや権威のあるモノを→D自分だけのこだわり品を、と同じカテゴリーでも市場の熟度や購入者の心理状態で、マズロー式に5段階にステップアップする。
前号で取り上げた話題だが、東京地裁が住友信託銀行とUFJ信託とで交わされた買収合意の有効性を認めたため、UFJと三菱の統合話は、すんなりとは行かないことになった。
セキやんひとこと:当面は司法判断を遵守しながら話し合うことになる。客の願いは、冷静で的確な結論。
<ローカルスペース>
高齢者向け複合施設、建設へ
生鮮食料品店、医院、薬局、理美容店などを備え、バリアフリーでオール電化の高齢者向け賃貸集合住宅を、06年までに花巻につくる動きが具体化した。隣接マンションは分譲で、2000万円前後の価格と設定し、国土交通省の優良建築物等の認定を受け、総事業費19億7千万円のうち5億5千万円を補助金でまかなう。地元商店主らの有志が出資して設立した有限会社が中心となって進める。
セキやんひとこと:2000年に一関の有志が手弁当で夜に会合を重ね「一関型!」と意気込んでまとめた街づくりのアプローチとピッタリ重なる。社会状況、地域事情を検証すれば、結論は同じということだ。補助金を使うことや居住者の資産ケアなど、少し気になるところはあるが、是非成功してもらいたい。
第163号(2004年8月13日)
<グローバルスペース>
世界の若者、14%が失業中 −共同通信の配信記事より−
国際労働機関(ILO)の発表によると、03年の若年層の失業率は史上最悪を記録。2003年には世界中で若年労働力(15−24歳)の14.4%に当たる約8800万人が失業しており、改善の見通しも立っていない。若年失業者数は1993年時点と比べ26.8%増加し、全世界の失業人口の47%を占めた。25歳以上の失業率は世界全体で6.2%であり、若年層の失業率の高さは際立っている。
東京高裁、統合交渉中止仮処分取り消し
セキやんひとこと:ILOは若年層の失業が増えている理由の一つとして、世界的な不況で未熟練労働力が吸収されにくくなったことを挙げている。これからも、世界的にも企業は若年労働者を「育てる」余裕がなくなってきていることが分かるが、人材戦略についての長期視点として果たして正しいか甚だ疑問だ。
ここ3回連続ネタだが、UFJと三菱東京との経営統合交渉をめぐり、11日東京高裁は東京地裁の仮処分を取り消し、住友信託銀行の申し立てを却下する逆転決定を出した。これでUFJと三菱東京は月内の基本合意締結を目指し、中断していた全面的な統合交渉を再開する。住友側には最高裁で憲法違反について争う特別抗告などの道も残されるが、住友信託側はあえてそこまでせず、このまま三菱UFJとなる見込み。
セキやんひとこと:何度も繰り返すが、顧客のためになる選択肢を切に望みたい。
<ローカルスペース>
東京都主税局、公売オークション http://koubai.auctions.yahoo.co.jp/ 参照
都はヤフーと共同で、動産の差し押さえ物件のオークションを実施した。7月15日から30日まで入札参加の申し込みを受け付け、8月10日から入札開始し12日の10時までの2日間で、ロールスロイスや放浪画家・山下清のリトグラフ、日本画家・富岡鉄斎の掛け軸など20点がいずれも都の見積額を上回って落札された模様。気になる差額については、滞納者に還元されるという。動産の差し押さえは、02年度の公売実績約24億円のうち約1千7百万円と微々たるものだった。これは、入札参加者が少なく、鑑定に手間取り、結果として都が見込んだ販売価格を下回ることが多く、差し押さえ自体を控えてきたことが背景にあった。
イオン盛岡SC、1年経過
セキやんひとこと:来年度からは、不動産の差し押さえ物件についても開始し広く海外からも受け付ける予定。事務的に処理しようとしたら二束三文に買い叩かれるが、オークションという仕組みでオープン性を高めることで、WIN―WINの関係を作ることができた。
当ニュース138号139号で取り上げたイオン盛岡SCが出店1年を経過した。報道によると、昨年8月9日のオープンから1年間の売上は220億円、来客数は880万人と、いずれも当初目標を10%上回るとのこと。ただし、当事者であるイオンは、飲食店街や生活雑貨に比べ、アパレル関係は改善の余地があるとの見方で、今後は弱点強化を推進するという。
セキやんひとこと:盛岡市内などの周辺店舗では、当初危惧していたマイナス影響は最小限にとどまっているとのことだが、この影響の大小は自店の特長を生かすなど総じて事業者個々の取り組み姿勢と経営努力に起因している。
第164号(2004年8月27日)
<グローバルスペース>
米の富裕層消費、堅調 −日経−
いずれも25日の発表によるが、食器やインテリア用品を扱うウイリアムズ・ソノマの5−7月期決算は、売上高が前年同期比19%増の6億9000万ドル、純利益が55%増の2800万ドルと好調だった。室内装飾品などを強化した傘下チェーン「ポッタリー・バーン」の既存店が10%伸びて貢献した。宝飾品店のティファニーは「顧客1人当たりの購入金額が上昇し」、5−7月期の米国内の既存店売上高が10%増となり、25日にはフロリダ州とカリフォルニア州に来年新店を開く計画を発表した。高級百貨店ニーマン・マーカスは著名ブランドのハンドバッグや靴が好調で5−7月期の既存店売上高が13%増。ノードストロームも同期に純利益が62%増えた
独の景況に学ぶ
セキやんひとこと:消費者層の二極化の先行例といえる。ガソリン価格の高騰などの生活コスト上昇の影響をまともに受ける中低所得層は個人消費を鈍らせているが、その影響が相対的に小さい富裕層は旺盛な購買意欲を保っているという典型。日本では、今後このパターンを踏襲する可能性が高い。
医療費の負担増や個人年金の削減などの構造改革で消費マインドが冷やされ、小売業や卸売業の落ち込みが大きい。さらに、住宅取得補助の削減や公共投資の減少などが進む建設業界の回復も見込めない。まさに外需主導の景気回復を内需の低迷が足を引っ張る構図となっている。(企業診断8月号より)
セキやんひとこと:これはドイツの状況だが、そっくりそのまま日本に当てはまる。さて、どう手を打つか。
<ローカルスペース>
岩大と盛岡市が新たな連携の形 −岩手日報ほか−
東京の有楽町にある盛岡市東京事務所内に、岩大が客員教授1人を駐在させた「東京オフィス」を9月から開設し、首都圏企業との共同研究や情報収集、他大学との連携、学生の就職支援、募集などにつなげるための拠点とする。大学間競争が激化する中、全国各地の大学が同様の拠点づくりを進めているが、市と連携して設立するのは珍しい。市側も企業誘致の可能性が広がるとして期待している。
影の功労者、日蔭暢年コーチ
セキやんひとこと:首都圏での拠点設置の必要性を感じていた大学側にとっては経費を節減しながらの実現、市側にとっても企業の取り込みの端緒と、まさに一挙両得のモデルとして今後に期待がかかる。
あの男子60kg級で前人未到の五輪3連覇を果たした野村忠宏選手の所属する実業団チームミキハウスの監督を務める日蔭氏は、昭和58年モスクワおよび60年ソウルの両世界選手権78kg級で2連覇した実績の持ち主だ。その実績に裏打ちされた論理的できめ細かくかつ根気強い指導力には定評があり、日本柔道女子ナショナルチームのコーチとして、女子だけで金メダル5個という大躍進に大きな貢献をした。
セキやんひとこと:東北でも水泳銅メダルの森田選手や女子レスリング金銀の伊調姉妹など隣県勢が活躍する中、親御さんが出身など一部ゆかりのある選手はいるが、残念ながら本県出身の選手は見当たらない。そんな折、宮古出身の日蔭氏は、本県出身者らしく裏方としてしっかりと仕事を果たした。表彰台に上がるのは一選手だが、それを支える多くの方々がいることを忘れてはならない。
第165号(2004年9月10日)
<グローバルスペース>
ブロードバンド人口1億人超
国際電気通信連合(ITU)の報告書によると、昨年末時点での全世界のブロードバンド(高速大容量)通信の加入者数が1億200万人となった。これは、前年比約6割増でインターネット利用者の15%が高速通信網を使ってアクセスしていることになる。加入者数では、米国に次いで日本そして韓国となっている。
9.11NYから北オセチアへ、悲劇の連鎖
セキやんひとこと:人口に対する普及率では韓国がトップで、日本は8番目。通信会社ごとの契約者数トップのコリアテレコム565万に、チャイナテレコムが563万で急追している。日本勢は、ヤフーBBが360万で5位,NTTが350万で7位で、ようやくエンジンがかかってきた。
あの忌わしいテロ事件から早くも3年経つ。本ニュース87号に掲載している通り、ちょうどあの晩は山形から日帰りの予定だったが、台風のために足止めを喰らいホテルに戻ってテレビをつけたところ、映画のスローモーションのように旅客機がビルに突入していくシーンが繰り返し流されていたのを思い出す。
株価もこう着状態
セキやんひとこと:そして、今の北オセチアやイラクの悲惨な状態がある。憎しみ合いからは、何も生まれず失うものばかりだ。現にイラクにおけるアメリカ軍の死者が1000人を超えた。ブッシュは何を思う?
NYテロ当時、日経平均が17年ぶりに1万円を割り9500円台まで下げた。その後一旦大台に持ち直したが、翌年の秋には8300円台をつけ、さらに翌春には7600円そこそことなった。今は、何とか11000円台で、昨春から3割アップということになる。その割には、いまだ回復の実感がない。
セキやんひとこと:イラク情勢同様、日経平均も景況も膠着状態が続いている。朝が来ない夜はないというけれど、ここはしばらく夜の暗さに目を慣らし、暗くても状況を眺められるようにした方が賢明なようだ。
<ローカルスペース>
マニフェスト検証、岩手県知事は88点 −岩手日報、朝日岩手版ほか−
増田岩手県知事ら5人の知事のマニフェスト(政策綱領)を対象にした第1回ローカル・マニフェスト検証大会(早稲田大大学院公共経営研究科など主催)が開かれ、初めての外部評価となった増田知事の採点は総合評価で88点と5人中最高。先ごろの内部評価ではやや厳しい指摘だったが、評価を担当した川村雅人三菱総研地域政策研究センター長から、個性重視型の自立政策として「先駆モデル」とされた。検証は、昨年の知事選で掲げたマニフェストの立案過程、内容、県民への周知、1年間の達成状況など知事ごとに研究者などが分析し、100点満点で採点、増田知事のほか埼玉(総合評価79点)、神奈川(81点)、福井(81点)、佐賀(86点)の県知事が評価を受けた。評価者がそれぞれ異なるなど単純比較はできないが、増田知事が最高点だった。ただ、緊急優先課題への取り組みの遅れや施策が網羅的との指摘もあった。
セキやんひとこと:元祖イギリスで国政を担う政党によって始められたマニフェストだが、わが国では地方の首長によって実践された。地方行政の役割は地域コミュニティの保全にあり、理想のコミュニティとは「住民の居心地の良さ」にある。県知事は、確かに県民の選挙によって選ばれるが、基本的には県行政のトップである。つまり、行政が行政目標を評価する訳だから、尺度の本質は「住民の居心地」であるべきだ。