第106号(2002年6月7日)
<グローバルスペース>
日米で特許を相互承認
2004年の実施を目標に、日米両政府がお互いに両国特許を認め合うことに基本的に合意した。2国間での特許の相互承認は世界初である。日米両国で特許出願する企業は、日米両国に出願し、審査をどちらで受けるかを示せば、その国の審査が出た時点でもう一方の国でも時差なく特許が認められる。
脅威ではなく、市場と見る
セキやんひとこと:構造改革の国際版である。こうした動きは、ボーダレス化が進み実態として国境が排除されている事象からどんどん進む。自然の大きなうねりは、恣意的に操作しようとしても止められない。
トヨタが高級車分野で中国に進出する。合弁生産を含む包括提携の相手は、中国自動車メーカーの最大手である第一汽車で、2005年に天津での工場稼動を目指す。中国進出に遅れをとっていたトヨタだが、既に小型乗用車では今秋から天津汽車との合弁生産を開始する予定である。可処分所得とマインドで見ると、むしろ日本国内よりも購買力を有している中国市場は、売り手にとっては大きな魅力だ。
日本の勝ち点
セキやんひとこと:取りあえず間に合えば良い、というのは市場としては初期の段階だ。市場の成熟に伴なって、もっと良いものを他人と違う自分だけのこだわり品を、と高級志向になるのは世の常だ。その時に中国メーカーがそのニーズに対応できるか、現時点では甚だ疑問だ。そこに日本製造業の活路が見出せる。
赤い悪魔ベルギーと引き分けて、日本サッカー史上ワールドカップで初の勝ち点を得た。終了間際、稲本の幻のゴールが、9日のロシア戦への期待をふくらませる。そのロシアに引き続き、14日のチュニジア戦に決勝リーグ進出への望みをかける。
セキやんひとこと:デフェンディング・チャンピオンの強豪フランスは2戦を終えて未だ勝利を収めていない。ワールドカップ初勝利の韓国、強豪ポルトガルを破ったアメリカ、などサッカー地図にも異変の兆し。
<ローカルスペース>
経営革新法のすすめ
新たな経営の取り組みを行なう事業者に対する支援制度が、中小企業経営革新支援法だ。「新た」というのは、あくまでも自社にとって「新た」であれば良い。申請の流れとしては、まず経営革新計画を事業者が策定し、それを県が認定し、支援機関がそのやる気のある企業の計画実現を後押しするという仕組み。計画期間は3年から5年の間で設定し、目標期間終了時に付加価値額が年率3%ずつ向上できれば良い。利用可能なメニューとして、信用保証協会の枠が増える、政府系金融機関の低利融資の対象になる、設備貸与枠が拡大される、などがある。国が前向き事業者へ贈るエールで、今年度一段と力を入れる。
セキやんひとこと:利用にあたっては、何のために申請するのか、目標達成するためにどのメニューを活用するのか、支援を希望する個別機関との折衝、などがポイントとなる。どんな施策制度でも共通するが、自社の経営を立派に行うというのが目的であり、そのための手段として施策制度がある、という原則を忘れないことが肝要だ。中小企業が経営を検証するための問題整理法としても、大変優れた計画立案法だ。
第107号(2002年6月21日)
<グローバルスペース>
鍵は認識科学 ドラッカー著「ネクスト・ソサエティ」より
「ネクスト・ソサエティとは、ITだけが主役の社会ではない。もちろん、ITだけによって形づくられる社会でもない。ITは重要である。しかし、それはいくつかの重要な要因の一つに過ぎない。」と述べ、さらに「IT革命とは、実際には知識革命である。コンピュータは道具であり、口火であるに過ぎなかった。ソフトとは仕事の再編である。知識の適用、特に体系的分析による仕事の再編である。鍵はエレクトロニクスではない。認識科学である。」とし、「知識のプロとしての知識労働者を、社会的に認知することが重要」としている。
変わりつづけることが不変の戦略 企業診断6月号より
セキやんひとこと:しかし一方では、「おじいちゃんは電話が怖いんだよと言ったら、5歳の孫娘に尊敬されない」との例を引き、社内におけるコンピュータ・リテラシー(使いこなす能力)の重要性を説くのも忘れない。
92年に創業者のサム・ウォルトンが死去したあとも、快進撃を続け世界最大の企業となったウォルマート。現スコットCEOは、創業者が持ち込んだコンセプトを不変とした上で、IT戦略に取り組んだ。リテールリンクと呼ばれる情報システムは仕入先に販売情報を公開し、無駄を省いた取引を徹底することで流通経費を大幅に削減し、顧客に最大利便を提供するなかで取引先との共存共栄を図るというもの。店を変え、組織を変える。絶えず変化することが変わらない戦略というわけである。
加熱する中国 日経新聞20日脇トップより
セキやんひとこと:ドラッカーではないが、顧客の利便を「認識」し具現するために、ITという道具を使って「科学的に」行っているという訳だ。一時の成功に安心?して、いつのまにかシステムが硬直化してしまう日本のビジネスモデルとは、どうも根本が違うような気がする。顧客を認識する深さの違いだろうか?
中国13億人の1割が10年以内に日本の生活水準に達すると見る向きもある。実際、上海市(人口1600万人)の便利店(コンビニ)の数は昨年までの2000店に今年は3000店が加わり5000店になる見込みだし、北京市でのウォルマートとカルフールの米仏戦争も熾烈のようだ。
セキやんひとこと:だが、決して中国そのものが加熱している訳ではない。中国市場を手中に入れようとする外国資本が、理不尽な競合をしているだけである。世界の常識では、コンビニ1店舗あたりの人口飽和点は3000人といわれる。しかも、中国の可処分所得は、まだ先進国平均以下だから、1店舗あたり3200人は、異状である。10年間体力が持つところしか、やってはいけない戦争だ。
<ローカルスペース>
長谷川式
痴呆の度合いを見る有力な方法の1つで、30点満点の20点以下が痴呆とのこと。わが89歳の老父も先月末の卒倒騒動以来、1日単位で階段を転げ落ちるように、思考力が減退し30点満点の3点だった。
セキやんひとこと:特に出張の日はヘルパーさんに助けられているが、今回もケアマネージャーの熱意でようやく専門病院に今日入院できる運びとなった。それにつけても医師の質の低下は目に余る。今回に限らず、最新鋭器械で採ったデータでチェックしないと判断できない医者が増えているような気がする。
第108号(2002年7月5日)
<グローバルスペース>
たかりは実力にあらず
エンロンに続き、ワールドコムの粉飾決算で企業の決算に対する不信感が高まっている。このところの世界経済は、実態経済ではなく金融経済に依存していた。つまり、モノの価値にではなく貨幣や数字の値に根拠をおいて数多の金融商品を開発し、マネーがマネーを呼ぶ虚構に酔い痴れていた。浅薄な経営者や目ざとい監査人は、この味を一度知ったら、本来の企業の使命である「顧客への付加価値提供」という実業活動などは、馬鹿馬鹿しくてやっていられず、ついつい数字のツジツマ合わせを事業の目的としてしまった。
毅然とした姿勢
セキやんひとこと:「世の中に付加価値を提供する」は、企業でも個人でもこの世に生きる者の大原則である。「世の中を欺く」と、必ず断罪される。殊にも、行政や望んで社会的権威に就いた人間は心すべきことである。実効をあげられないことを、エセ改革や合従連衡の動きにすりかえるなどは言語道断の極みだ。
W杯が終わった。MVPには、ドイツのキャプテンのO.カーンがキーパーとして初めて選ばれた。4年連続で世界最優秀審判に選ばれているP.コリーナは、決勝戦の主審として見事なゲームメークをした。
セキやんひとこと:最も印象に残ったこの二人からは、プロの魂とプライドがひしひしと伝わってきた。
<ローカルスペース>
付加価値が実力の尺度
経営資源が何も無いところから始める新規事業の立ち上げは一筋縄では行かないが、その成功はひとえに経営者次第だ。経営者が「世の中へのお役立ち」を目指し、今ここで実行することが必須条件だ。
好調企業の特性 大阪市信用金庫調査より
セキやんひとこと:経営者の仕事は、いかに事業で収益を上げるかで、補助金を貰うのが経営者の仕事ではない。もし貰ったら、早く利益を出して税金として返すこと、それが事業の端的な付加価値の尺度だ。
今年2月に大阪府下約1200社から回収されたアンケートによると、好調企業の13%弱に安定企業の30%を加え、堅調企業は42%強となっている。業種間では、小売業、建設業それぞれの好調企業の比率は3%、7%弱と低く、サービス業、卸売業が各々19%、18%と高い。そして好調企業は不調企業よりも事業の変革を実施している企業の割合が50%ほど高く、その変革内容については、「事業の高度化」と「事業の特化・専門化」に高い効果が見られ、「多角化」や「業種転換」ではむしろ不振企業の割合の方が高くなっている。したがって経営資源が限定される中小企業では、まずは「本業」に付加価値を見出すべきであるということが明確に示されている。また、「好調企業」の64%が自社の強みを持っていて、強みを持ちながらも「不振」である企業は17%だ。さらに、単納期対応を特長にしている製造業では、好調企業が40%、不振企業が50%となっており、単納期対応が業績の好不調を決める要素になっていないことがわかる。
セキやんひとこと:興味深い調査結果である。上記の他にも、ビジョンを持っている企業が「好調」73%、「不振」26%であり、不況をチャンスととらえるかが「好調」48%、「不調」16%であることからも、やはり企業業績の良し悪しは企業の自律性にあるといえる。
第109号(2002年7月19日)
<グローバルスペース>
世界経済のけん引役 日経新聞16日「景気指標」より
モルガン・スタンレーは、今月初め「米国に代わって、中国とインドが世界経済の新たな成長源になる可能性が大きい」とするレポートをまとめた。中国は製造業で、インドは情報技術(IT)関連を中心とするサービス業で、それぞれ潜在的に高い成長能力を持っていると分析。「購買力平価ベースでは両国を合わせたGDPは世界の17%を占める」として、両国の影響力の大きさを強調している。IMFも4月の世界経済見通しで、両国経済の強さに言及している。
松下翁と芳村氏の予測
セキやんひとこと:米国発のグローバルスタンダードのほころびが散見される中、世界最高位にランクされる証券会社や世界通貨制度安定の番人である国際通貨基金が、中国やインドの可能性を客観的に分析し、理性的に次世代の世界経済の救世主としての評価を与えている。感性からの視点は、次項で。
故松下幸之助氏は、生前「世界の中心は西へ西へと移っている。21世紀の中心は、紛れもなくこの日本である」と述べた。また、芳村思風氏はその著「21世紀日本の使命」で、「世界文明はアフリカにはじまりました。それがメソポタミア地方、地中海と動いて、ヨーロッパからイギリス、アメリカへと移動してきました。そしていま、ようやく世界文明の中心は東アジアへと移動してきています。・・・そして、日本から中国さらにインドへと・・・この動きは必然であり・・・歴史はそういう方向に進んでいくしかないのです」と感性から述べる。
セキやんひとこと:約3年前の本ニュース37号でも取り上げた。当時は日本がアメリカに代わるエンジン役となるのは当然の感があったが、どうも最近は日本を飛び越して一気に中国インドへ行ってしまいそうな様相を呈している。しかし、芳村氏が著した次の文章を噛み締めたい。「一般的に言って、苦境はすべて、人間の潜在能力を引き出すためのものなのです。いまの不況は21世紀を作っていくために必要な力を日本民族から引き出そうとする意図で与えられたものなのだ、と受けとめなければならないということです。」
<ローカルスペース>
地方分権研究会
北川正恭三重県知事を中心とした5知事が、奥田碩経団連会長らと慶応大学のグローバルセキュリティ・リサーチセンターに事務局をおき、「議論の時は過ぎており、実践することに意味がある」と地域で施策展開するために、構造改革の研究会を立ち上げた。これは、付和雷同の町村合併論議とは対極を為す。
電光広告会社倒産の波紋
セキやんひとこと:利用者側からの「事業評価システム」や「政策推進システム」と、かねてからの北川知事の一貫した実践力を見ていると期待が高まる。たまたま北川知事に加え、奥田碩会長は三重県の出身で、さらに前項の芳村氏も三重県鳥羽市に住む、いま三重に注目。小泉後は、地方の人材登用の手がある。
倒産した郡山市のジェイ・メディア社は、電光掲示の内容がリアルタイムに変更できる斬新な広告媒体を商材に、契約時に信販会社を通して全額を受け取り、契約者である広告主が契約期間の5年間ローンの形態で返済するという契約だったが、当の広告主は毎月の広告料を月々支払っているという認識だった。
セキやんひとこと:ローン残額は、20億円超という。新手の導入に際しては、契約内容を良〜く確認あれ。
第110号(2002年8月2日)
<グローバルスペース>
セーフガードは諸刃の剣
中国が5月下旬に発動した暫定セーフガードで、苦しんでいる。製造分野では一人勝ちと言われるが、高機能製品の供給能力ではまだまだだ。今回の対象は鉄鋼分野で、5月下旬から7月下旬までの2ヶ月間で既に対象品目の6割弱に達しており、調査期間に設定された残り4ヶ月間でその残量を細々と消化することになる。中国は、人件費で勝る労働集約分野にその優位性が発揮されているが、一方では製造技術上の問題から生産財関係の競争力では技術的な先進国から大きく劣っている。そんな中で、中国政府が発動したこの政策には「自分の首を絞めている」というシビアな感想も漏れ聴かれる。
マクロで総括する落し穴
セキやんひとこと:勢いのあるものや権力の座にあるものは、ことさら自重しなければならない。他人の足元を見たつもりが、自分の足元がおぼつかなくなるという愚だ。世の道理でいえば、悪乗りすると、必ず人知の及ばざるところからのお仕置きが待っている。
アメリカの株安に引っ張られてアジアもヨーロッパも株価はメロメロだ。1日で何十兆円消えたとか、ここ数ヶ月間で30%資産総額が目減りしたとか、もっぱらマクロからの議論でまとめられている。しかし、当のアメリカでも、よくよく見ると株価はまちがいなく個々の企業業績で変動している。
セキやんひとこと:株式市場の成り立ちの原点に戻って考えればすぐに分かることだ。あくまでもひとつ一つの企業の株価と発行株数で株式市場は成立している。そして、その投資の目安はその企業自体にあり、各企業に対する評価すなわちミクロの積み重ねの結果が市場全体の時価総額、株式指数、平均株価だ。もし全株式に投資している方がいるのであれば話は別だが、NY市場や東京市場などとまとめてマクロの視点で株式市場を云々するのはナンセンスだ。現に毎日何社かは、年初来の最高値をつけている。
<ローカルスペース>
高校野球も真摯さがポイント
ドラッカーは、「真摯さはとってつけるわけにはいかない。すでに身につけていなければならない。ごまかしがきかない。無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。だが、真摯さの欠如は決して許されない。」とし、管理者に必要な資質として真摯さを挙げる。ひるがえって、夏の風物詩高校野球でも同様だ。超高校級の選手を集めても、雑なプレーを繰り返すようでは、必ず馬脚をあらわす。
アニメ映画“アテルイ” 日経新聞東北版より抽出
セキやんひとこと:シード校が弱小?校と戦う時に良く分かる。つまらないエラーをしたあとに、ごまかし笑いをするようでは、お話しにならない。それをチームカラーという。企業にもそれは当てはまる。
このほど映画制作委員会の手によって完成し、8月から順次一般公開され全国上映を目指すという。アテルイは8世紀後半に大和朝廷の東北支配に抵抗したエミシの族長で、没後1200年を機に再評価の機運がある。岩手県水沢市付近で、坂上田村麻呂の朝廷軍に20年にわたって戦ったが、801年に降伏した。
セキやんひとこと:中央から見た歴史観と悪役然としたその風貌によって、歴史の評価の外におかれ続けてきたが、中央の論理にとわられずコトの本質からアプローチしようとする動きが出てきたことは心強い。