第131号(2003年5月23日)
<グローバルスペース>
SARSの影響、じわり
新型肺炎で、世界の工場「日本イン中国」が大変なことになっている。松下電器産業の北京2工場が操業停止したのをはじめ、自動車メーカーや化学メーカー、さらには台湾では合弁百貨店の閉鎖などと、大きな影響が出ている。
預金保険法102条
セキやんひとこと:これは大企業だけに限られた話ではなく、岩手県内の自動車部品製造メーカーでも、現地との合弁工場の操業開始が延期されるなどの影響が出ている。何とか早期に終息してもらいたいと願うばかりだ。
ついに金融庁が動き、りそなグループへの公金投入が決定された。102条で「国または地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずる恐れのあると認めるとき」に措置を講じると定めている。1号措置は破綻前の銀行を対象とし資本注入し早期再生を目指すこと、2号措置は破綻銀行が対象で預金を全額保護し清算へ向かうこと、3号措置も破綻銀行対象で預金を全額保護し国有化するというものだ。
セキやんひとこと:今回のケースを見ると、条文でいう「信用秩序の維持に重大な支障」が何なのかは分からない。国民の不安を拭うためにも、その辺の丁寧な説明は不可欠だ。
<ローカルスペース>
地域ブランド育成支援ビジネス −「企業診断」他より−
大手広告代理店が企業ブランドづくりで得たノウハウを活用して、地方自治体や産業界向けに「地域ブランド」の育成支援ビジネスに乗り出してきた。たとえば、博報堂は自社開発プログラム「地域ブランドPRO」を柱に、全国の支社・地域子会社と連携して営業活動に入った。具体的には、まず地域ブランド推進母体づくりをサポートするが、ここでブランドづくりにおける関係者の合意形成ノウハウが活用され、地方自治体や住民、地元企業の立場や利害を調整する。次に、シンボルマークの作成、そしてテレビやアンテナショップなどを通じて、ブランドをアピールする。さらに、インターネットを活用した通販ルートやブランドコミュニティの構築などで消費者参加型の商品戦略をとる。これらは、ナショナルブランドメーカーの手法を応用したもの。
幼稚園早期入園特区
セキやんひとこと:ツールは目的となり得ない。この場合、主体となる自治体等がブランドづくりの目的や使命を明確にすることがまずは必須の前提で、その次に効率性や確率の追求となる。そうでなければ、せっかくのノウハウも宝の持ち腐れとなる。この取り違えが支援バブルを生むことになるから、ご注意あれ!
構造改革特区第2弾で、一関市の標記要望が認定された。従来3歳児以上しか対象にならなかった幼稚園への入園年齢を緩和するというもので、山梨県の富士吉田市からも同様の要望があり認められた。特区第2弾の認定は60件で、第1弾と合せて117件となった。早速この夏にも評価委員会を持ち、同様の規制緩和を全国に広げる検討に入る。
セキやんひとこと:こんなことも規制対象だったのかと驚くような案件がずらりと並んでいる。遅ればせながらも、地方の声が少しずつでも実現することは好ましい。これで、財源移譲がすすめば更に結構だが・・・。
第132号(2003年6月6日)
<グローバルスペース>
エビアンからアカバへ
フランスのG8では、その共通の責任として各国の経済成長を高め、世界経済に貢献するとした。しかし、その具体的な方策には踏み込まれなかった
。そのサミットを中座したブッシュ米大統領はヨルダンで、イスラエルのシャロン首相とパレスチナ自治政府のアッバス首相と中東和平に向けての三者
会談を行った。今年4月30日に米国国務省が発表した和平ロードマップ(行程表)がタタキ台となり、関係国にもおおむね好評だ。行程表の全文は、
http://www.zion-jpn.or.jp/p04rm.htm参照あれ。
既に成功の仕方は分かっている
セキやんひとこと:G8より中東問題で、ブッシュ大統領が存在感を示した。行程表は、ブッシュ本人が昨年6月24日に述べた「安全なイスラエ
ルと存続可能な平和的で民主的なパレスチナという2つの国家のビジョンの実現」の具体化への出発点で、世界に蔓延する憎しみのスパイラルと決別す
る端緒としたいもの。
米国の鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの言葉だ。さらに続けて「それなのに、若者が独善で成功法を開発しようと試行錯誤を繰り返すのは無駄なこ
とで、看過できない」と、雑誌ライターを業としていたナポレオン・ヒルに語り、当時の成功者約500人余を紹介し、その取材結果を1冊の書にまと
めるよう勧めた。その後ヒルは忠実に約20年間取材を重ねて世に出した書が有名な「成功哲学(産能大出版訳、現在絶版)」である。これはモチベー
ション物のルーツと言われ、「熱意こそ事業成功の源泉」説の根拠となった。現在のベンチャー奨励もこの路線上にある。いわゆる「心は形を求める」
熱意願望型で、1000人中3人しかいない。
セキやんひとこと:だが、幸か不幸かここ数十年日本の中小企業経営者の多くは、これとは別の「地道にこつこつと積み上げてことを為す」素直
実行型で一時代を築いた。これは、熱意願望型とは逆に「形は心を求める」というタイプ。「動作は心を支配する」ともいうから、事業はどちらからの
アプローチでもOKだ。
<ローカルスペース>
事業の見極め方も、既に分かっている
結論から言えば、事業ユニットを明確にする、事業収支が適正となる時期を決める、他を犠牲にしても集中実行する、ということだ。逆に、すべての
面で充足した現代で、事業ユニットの3要素(@何を、Aどこの誰に、Bどのようにして、提供するか)がはっきりしない事業は成立しない。まずは、
ここをしっかりおさえることから始まる。あとは、繰り返し述べているように、果決(9つ捨て1つに集中)し、雑音を排し実行するのみ。
一関発
セキやんひとこと:セキやんの創業指南では、事業スケルトンを磨き込み、時間軸を明らかにするために予実チェック表に落とし込み、ズレを修正
して行く、とする。これが、夢を現実化する本質的手順だ。
懇意にしている社長の口癖だ。事業の立ち上げ期は本当に苦難の連続だったが、ここ数年その甲斐あって、業界のプライスリーダー的存在となってい
る。開発も限られた資金をやり繰りしながら、自前でやってきた。新工場の建設をはじめ様々な要因が重なり、2年前初めて開発補助金を使った。社長
は関わりのできた支援スタッフの温かさに感激し、恩返しに地場から一流の新商品を出し、早期返納を目指している。
セキやんひとこと:超一流どころから新商品への引き合いが目白押しだが、社長は決して浮かれない。
第133号(2003年6月20日)
<グローバルスペース>
トリニティ(三位一体)
「三位一体」とは、もともとキリスト教で神・キリスト・聖霊を一体とする見方で、一体とは「同じ」ということではなく「同質」と解釈するよ
うだ。つまり、ひとりの神の中に三つの人格(位格)があるとのことらしい。
ICタグ、動く
セキやんひとこと:流行語となった「三位一体の改革」とは、小泉内閣が進める4兆円程度の補助金削減などを柱とした国と地方の税財政改革
のことを言うらしい。キリスト教は一神教だが、こちらの政・官界には多神教ならぬ魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈するから、これには相当な
覚悟が必要だ。
電子荷札の方向性が見えてきた。一時は、坂村−村井論争の様相を呈していたが、このほど国内関連企業170社(NEC、日立製作所、NTT
、凸版印刷など)が参加するユビキタスIDセンターが規格をまとめた。今回は技術面の細部まで固め、世界的な標準規格として今後は海外メーカーなどにも働きかける。ICタグの頭脳となるICチップの仕様、ICタ
グへの情報書き込み様式、ICタグとのやり取りのための通信方式などを定めた。この規格に基づいた実証実験を7月に開始し、来年にも実用化さ
れる。
セキやんひとこと:本ニュース130号で書いた「世界標準へ動き急」と同様な流れで、歓迎したい。国産規格派の坂村健東大教授と米国発を
導入しようとする村井純慶大教授のせめぎあい、産業界はいとも簡単にそれを乗り越える。ニーズ・オリエンテッドを起点にすれば、もつれた糸も
割りと簡単に解けるものだ。
<ローカルスペース>
福島商議所が大阪商議所を活用 −日経東北版より−
福島商工会議所は、福島市内の中小商店などの販路拡大を支援するため、インターネット取引の環境整備に乗り出す。第1弾として、7月に物産
販売が中心のサイト「物産展示インターネットモール」を開設、全国の消費者に商品をPRするほか、大阪商工会議所が開いているネット受発注の
ポータル(玄関)サイト「ビジネスモール」にも年内に加盟する。食材や鋼材、物流など10の分野で取引できる。分野ごとに運営会社があり、取
引したい企業は分野ごとに登録料を支払う仕組み。商工会議所会員として参加するため登録料は割安になるという。「ビジネスモール」には全国の
商工会議所や商工会約140団体が加盟しており、データベース化している紹介企業は約32万社に上る。
ポーズだけでは、おさまらない
セキやんひとこと:モールに真の魅力があれば、距離的な障害は乗り越える。地方にハンデはない。
地方に三位一体ボールが投げられた。少し時間はかかるが、確実に受け取る時期がやってくる。ここに来て、改革派と称される知事などを中心に
、自助自立の声が賑やかだ。大変結構なことであり、大いに地域経営の手腕を発揮して欲しい。しかし、足元では平成の市町村合併が迷走気味であ
り、一抹の不安を覚える。当然、ここにも指導力発揮が求められる。ファイティングポーズを鏡に映し、悦に入ってる時でない。
セキやんひとこと:今までは、中央と地方の間に言わば「55年体制」が堅固に築かれ、地方は何だかんだと口では文句を言いながらも、間違
いなく国におんぶして来た。この根性をなおせるか。給与の1割カットを5年続けると5年目には今の6割の給与になってしまう。デフレの怖さが
、給与所得者にも忍び寄ってくる。
第134号(2003年7月4日)
<グローバルスペース>
米国経済の主役交代 −企業診断7月号より−
設備投資は情報関連機器を中心に回復基調が続いている。今後についても、設備投資の調整が最終局面に達し、企業収益も底入れから回復に向かってくることから、省力化投資や更新投資を中心に設備投資の回復に向けた動きが顕在化してくると考えられる。さらに、低金利が持続するなかで、社債利回りと国債利回りの格差、いわゆるクレジットスプレッドが縮小していることもあり、企業の資金調達面でも回復への条件が整いつつある。こうしたなかで、景気の牽引役は、これまでの個人消費や住宅投資から設備投資へと徐々に交代していくことになるものと思われる。
世界モデルの資本政策
セキやんひとこと:ユーロ圏の雄ドイツが苦戦している状況下、米国の存在は大きい。最近の株高傾向は、その米国内での流れを察知してのものと分析できる。ある意味、「ワラをもすがる」相場かも知れない。
徳島の紫外線LEDのメーカーであるナイトライド・セミコンダクター社が設立されて3年経った。それまで、ニュービジネス協議会の常務理事だった村本宣彦氏が、自ら事業家として立ち上げた会社だ。ここにきてサンプル出荷から量産化に向けて動き出しているが、ここでは設備産業ならではのユニークな資本政策に注目したい。3年前2200万円の資本金で村本氏が立ち上げ、2ヶ月後には一口50万円で1億2600万円に増資するなど、数回にわたって増資し設立1年半後の01年12月には7億5100万円としている。
セキやんひとこと:投資事業有限責任組合のシステムを活用することによって、ここまで増資しても村本氏の持分は、発行株式の過半数をキープしている(筈だ)。村本氏を取り巻く良き協力者の知恵のなせる業だが、事業は結局「人」で決まるということだろう。詳しくは、"ナイトライド社HP"を参照下さい。
<ローカルスペース>
地方における資本政策
平成14年4月に設立された「いわてインキュベーションファンド」は、いわゆる官製ファンドだ。岩手県、中小企業総合事業団、県内企業などが10億円出資し、京都本社の独立系フューチャーベンチャーキャピタル社が業務執行する仕組みだ。関係者の立ち上げの苦労は、知る人ぞ知るだが、県内関連企業4社に対して既に投資し、さらに続きそうだ。間接金融が萎縮しているこの時期に大いに目立っている。
通行料金別納制度
セキやんひとこと:出資対象4社のうち、3社の社長は良く知っている。共通点は、人間味が豊かでありなおかつ事業での結果をしっかり出していること。かのドラッカーも指摘する通り、リーダーの必須条件である「真摯さ」は後付できないから、さすがに業務執行役は良いところを見ている。
一部の不心得者のために、この制度がマスコミの格好のエジキにされている。大口需要者向けの高速料金の後納制度だが、規模を持たない中小事業者は1社でも対象となる大企業と違い、その恩恵に与れなかった。苦肉の策で、合法的な事業協同組合などを利用して制度を細々と使わせてもらっていたのが実状だ。
セキやんひとこと:悪名高き?公団タタキに使うため、中小企業者を巻き添えにしてはならない。問題の本質が仕組みにあるのに、目先の手柄が欲しいために重箱の隅をつつくやり方は卑劣だ。
第135号(2003年7月18日)
<グローバルスペース>
米IT関連、4−6月期決算に明るさ
インテルの売上高が前年同期比7.8%増の68億1600万ドル。純利益は101%増の8億9600万ドルで、昨年同期比実質で36%の増益だった。
また、米ヤフーの純利益はネットバブル末期の2000年前半以来の5000万ドル(約59億円)と前年同期の2.4倍に拡大し、四半期売上高は前年同期比42%増の創業以来最高の3億2100万ドルとなった。これを受けて、2003年12月期通期の売上高予想と通期営業利益の予想を上方修正した。キーワード検索に絡めて広告を打つ「検索広告」と呼ばれる新型のネット広告が収益拡大のけん引役となった。また、広告以外のネット接続や恋人探しなどのサービス事業も順調だ。
さらに米モトローラは、大幅なリストラの効果で4−6月期の売上高が前年同期比10.3%減ながら61億6300万ドル、最終損益が1億1900万ドルの黒字(前年同期は23億2100万ドルの赤字)となった。
セキやんひとこと:ネット企業特有で株価は最近過熱気味だったが、収益拡大が株高を追いかける好循環となっている。バブルと決別し、実体経済にしっかり馴染んできているようだ。
<ローカルスペース>
先天的失敗者考
敬愛するランチェスター経営の竹田陽一氏による反面教師的失敗者度チェックのやり方が面白い。15項目あり、まず@トップとしての勘違い:たとえば、朝の出勤時間が同業者よりも1時間以上遅い。次にA手抜き屋:働く時間が少なく、年2600時間以下になっている。続けてB名誉ボケ:公職や名誉職など本業と全く関係ないことに時間とお金をたくさん使う。C同化・流され癖:仕事と関係ない人と長話をして、大切な時間を無駄に使う。D怠け者:何かにつけて骨惜しみや手抜きをし、すぐに怠けようとする。E忍耐力不足:何かを始めて少し難しいことにぶつかると、すぐに諦めてしまう。Fバタ貧:仕事をするときに計画を立て、それを整理したり、メモったりしないので、バタバタと気ぜわしく走り回っているが、忘れ物やうっかりミスが多発する。G勉強嫌い:業績の良し悪しを根本的に決定づけている大事な要因を本気で探し出そうとしないし、大事な要因が分かったとしても、それを本気で研究しようとしない。H批判的評論家:自分の実力はとても低いのに、業績の良い社長から学ぼうとしないばかりか、逆に業績の良い社長を批判する。I聞く耳持たず(唯我独尊):経営戦略についてはほんの少しのことしか知っていないのに、何でも知っているような顔をして、経営に役立つ提案をまともに聴こうとしない。J臆病なナルシスト:どうでも良いようなつまらないことに必要以上にこだわる。そして、やってみればすぐに分かるようなことでも、やってみようとせず、あれこれと批判する。K浪費癖:経営能力以上の高価な備品を買う、また経営能力以上の高い車を買うなど、いつまでも自己資本が多くならない。L全国優柔不断協会役員:ホンの小さなことは勿論のこと、業績の良し悪しを左右する大事なことであっても決めようとせず、5月の連休が終わったら決める、お盆を過ぎたら決める、年が明けたら決めると言って、理由もないのにズルズルと引き伸ばす。M言い訳巧者:とにかく言い訳が多い。うまくいかない言い訳コンクールの優勝者。Nノー天気:客観的に見ると危ない会社になりつつあるのに、本人はその認識がないばかりか、危機感もなくて、のんびりとしている。以上のうち、10項目以上該当する方は、経営者としては先天的失敗者と呼べる。ちなみに8項目以上は、準先天性の失敗者という。
セキやんひとこと:まさか、あなたの周りの社長さんにそういう人はいませんよね。くわばら、くわばら!