Sekiyan's Notebook グローカルニュース〜経営の腑

セキやん通信「経営の腑」


第246号“販売計画は社長が立てよ”<通算561号>(2018年9月7日)

第247号“販売計画”<通算562号>(2018年9月21日)

第248号“経営的チェックの要点”<通算563号>(2018年10月5日)

第249号“資金繰計画のもとは利益計画”<通算564号>(2018年10月19日)

第250号“資金運用計画を狂わせるもの”<通算565号>(2018年11月2日)

「経営の腑」第246号(通算561号)(2018年9月7日)

 販売計画は社長が立てよ  一倉定著「経営計画・資金運用」(社長学シリーズ第2巻:1976年刊)より
 販売計画の作り方の要領を述べてきたが、大切なことは要領ではなく、あくまでも社長の方針を十分に盛り込むことである。何を伸ばさなければならないか、どの地域に重点を指向するのか、という積極策と、反対に何を捨てるか、何に力を入れないか、という効率化の方針を明らかにすることである。
 過去の実績の引伸ばしや、予測を重視した達成率主義は、計画ではないことを知らなければならない。
 計画は“当て物”ではない。その通りにいけばいいのではなくて、社長の意図を十分に盛り込み、その実現に挑戦するところに本当の意味がある、という認識が大切なのである。
 最後に、販売計画で絶対にやってはいけないことを強調したい。それは、営業部門から売上目標とか売上予測とかを提出させてはいけない、ということである。売上実績だけを提出させるのである。
 それにもかかわらず、非常にたくさんの会社でこの誤りを犯している。その理由は、「営業のことは営業が一番よく知っているから」というのである。冗談じゃない。販売計画というのは、“事業経営”に関することであって、“営業”に関することではないのだ。それを営業に関することだと思っている。全くの誤りだというのはここのところである。
 販売は事業計画の“中核”なのだ。それを営業部門のことだと思って、営業のことを一番よく知っている営業に目標を立てさせるとは、あきれ果てたことである。営業部門では、決して“事業経営”のことは考えない。もしも、それを考えて目標を立てる営業部門の長がいるならば、その人を社長にして、社長は専務にでもなって新しい社長から事業の経営を学ぶべきである。
 自らの事業を、社長自らの意思で、このようなものにする、というのが経営計画である以上、販売計画といえども社長自ら立てるべきなのだ。
 営業部門の意見をきくことはよい。しかしそれはあくまでも社長の意思決定のための情報の一部なのだということを忘れてはならないのである。

セキやんコメント:  経営は全体最適であり、部分最適の寄せ集めではない。したがって、社長の役割は、自らが決めた方向に全社のベクトルを合わせることである。その時に、社員がもっとも勇気づけられるのは、社長の覚悟に優るものはないということを知るべきだ。

「経営の腑」第247号<通算562号>(2018年9月21日)

 販売計画  一倉定著「経営計画・資金運用」(社長学シリーズ第2巻:1976年刊)より
 利益計画に示された必要利益を出すために、「何を」「どれだけ」「どこに」「だれが」売るのかを計画するのが販売計画である。
 この販売計画こそ、経営計画の“中核”になるものである。
 それは、方針書に明示された事項を目標として設定し、展開し、販売活動の数字的指針とするものなのだ。  その中心となるものが、「商品別販売計画」である。社長の意図する商品構成と、その売上目標をどうするかを、販売計画によって練りあげるのである。
 社長の意図するところと、現実の数々のギャップを埋めることは容易なことではない。
 占有率の目標を達成するための売上高について、その商品はいくらでなければならないか、最重点商品、重点商品はいくらの売上高を確保すればいいか、という目標と、必要な粗利益を確保するための売上高を、何で実現しなければならないか、という両面を考える必要がある。
 とはいえ、厳しい現実は、必要粗利益を確保するための売上高が如何に難しいかを、いやという程味わわなければならないのであって、この目標を達成できる売上高は、いやでも占有率の目標を突破する、といった方が、むしろ実態をよく表しているのだ。
 そのくらい、これは大変な作業なのである。前に述べたように、社長がノイローゼになったり、不眠症になったりするのである。この苦しみは、社員には絶対に分からないものなのである。また、社長として、社員に分かってもらおうとするのは誤りである。あくまでも自分一人で苦しまなければならないのである。
 そして、この苦悩に解答を与えてくれるものは、社長が外に出て、お客様に会うことなのである。
 それにもかかわらず、たくさんの会社で、この商品別販売計画をたてず、利益計画だけで経営を行おうとしている。利益計画だけでは、それが如何に達成困難なものであるかは本当に分かるものではないのだ。
 そのために、事態を甘く見たり、数字だけで経営しようとしたり、数字にとらわれて、動きが取れなくなったりするのである。
 商品別販売計画で最も大切な点は、必要加工高(粗利益)である。売上高だけの計画では、商品によって加工高比率が違うために、売上高は高くても加工高比率が低ければ、必要な加工高を確保できないような場合があっても、チェックできないのである。
 極論すれば、加工高さえ確保できれば、売上高はいくらでもいい、ということになるのだ。だから、最初に目標加工高の合計欄に利益計画の目標加工高を記入するのである。こうすることによって、利益計画と商品別販売計画が連結されるのである。

セキやんコメント:  ここで一倉が言う「加工高(粗利益)」は、付加価値額のことである。この付加価値額こそ、わが社が「自由に使えるお金」なので、どの会社にとっても最も重要な要素である。家計に置き換えると「額面給料(≒売上高)」より、「手取り給与(≒付加価値額)」の方が大事なのと同じことなのだ。

「経営の腑」第248号<通算563号>(2018年10月5日)

 経営的チェックの要点  一倉定著「経営計画・資金運用」(社長学シリーズ第2巻:1976年刊)より
 経営的チェックに対する基本的態度を、次にまとめてみると、
 1.実績が目標を上回る場合は、更に販売努力を強化するのである。顧客の要求が、我社で考えていた以上にあるのだから、これに販売努力を強化していけば、さらに大きな成果が期待できるからである。この場合には、量的な強化である。質的な強化は後でよい。
 2.実績が目標とほぼ一致する場合は、さらに販売を増大させる策は何かを考えるのである。その策とは、質的なものがまず考えられなければならない。したがって、量的な強化は後回しになる。
 3.実績が目標を下回る場合は、顧客の要求が我社で考えているよりも少ないのだと思わなければならない。だから、ガムシャラに新規資源を追加投入してはならないのである。よく実態を見きわめて手を打たなければならないのだ。第一に確認しなければならないのは、「方針通りの活動が行われたか」ということである。もしも、方針通りの活動が行われていなければ、方針通りの活動を行うことが先決である。これは、一つには「決めたことは必ず行われる」という組織管理の根本問題であり、もう一つは方針通りやってみなければ、その方針がいいか悪いか分からないからである。もしも方針通りの活動が行われていながら、なおかつ実績が目標を下回る場合には、
  (1)売上げが上昇傾向(上昇傾向というのは、会社の総売上高の伸びより伸び率が高いということである)であれば、方針を持続して様子を見るのである。目標を下回っても、それは望みなきにあらずだからである。特に新商品の場合などは、どうしても初めから過大な目標をたてがちである。しかし、初めのうちはなかなかスピードが上がらないのは、いたし方がない。大切なことは、傾向なのである。もしも、発売当初からブームの様相を呈するようならば、その商品の寿命は極めて短いものでしかないのであるから、警戒を要する。
  (2)売上高が下降傾向(絶対額の下降だけではなく会社の総売上高の伸び率より低い伸び率の場合も下降傾向である)の場合は、商品と販売法について、それぞれ只一回の修正にとどめる。それで売上が向上すればよし、売上が向上しない場合には成り行き任せ、機を見て切り捨てる。これは。顧客の要求がない、と考えられるからである。仮に顧客の要求があったとしても、我社ではその要求に合った商品の改良も、販売法も見つけ出すことができない、ということを意味しているからである。
 以上の原則は、忠実に守られなければならないことを心していただきたいのである。

セキやんコメント:  ここで正しく認識して貰いたいのは、目標とは「わが社の願望」のことで、実績は「市場の評価」であるということだ。すなわち、目標にこだわるのは、わが社の願望に前のめりになり、市場の評価に耳を貸さないことにほかならないのである。これで、顧客第一とは笑止千万だ。

「経営の腑」第249号<通算564号>(2018年10月19日)

 資金繰計画のもとは利益計画  一倉定著「経営計画・資金運用」(社長学シリーズ第2巻:1976年刊)より
 (大口取引先が裁判所から財産保全命令を出された状況で)資金繰表はできているかと聞くと、できているという。見せてもらったところ、それは経理担当者の作ったものだった。
 私は真っ赤になって社長を叱り飛ばした。「会社の危急存亡の時に、社長が資金繰表を作らずに経理担当者に作らせるとは何事か。部下に作らせた資料では、銀行に対して明確な説明ができるはずがない。自分で作れ」
 しかし、社長は資金繰表の作り方を知らなかったのである。私は社長に「一倉が作り方を教えるから社長が作ること。経理担当者には計算だけはさせてもいい。しかし、その数字は社長が言うのだ」と。
 資金繰計画のもとになるのは利益計画である。利益計画にもとづかないものは、「資金繰予測表」である。ほとんどの会社の資金繰表なるものは、この資金繰予測表なのである。経理担当者が、自らの売上げ予測にもとづいて、資金繰表を作る。それより外に方法がないのだから致し方ないのである。それを、予測表の根拠となる数字も示さずに、表だけ社長に示す。社長はその根拠を聞こうとしないで、不足金額だけを見る。作る方も見る方もこれでは困る。資金繰予測表を見ても、前向きに方針を立てることができずに、結局は成り行きということになってしまう。そして、毎月のように資金繰表を書き換えなければならない。少しでも予測の的中率を高めるために、である。
 資金繰表というものは、予測に対する的中率を高めることが狙いではない。資金繰りの実態を正しくとらえて、誤りのない対策を事前にたてることができればいいのであって、的中率などどうでもいいのである。
 これを可能にするものは、利益計画にもとづく資金繰計画をたてることが第一であり、次には正しい読み方をするということである。そのためには、利益計画が変わらない限り、資金繰計画も変えてはならないし、利益計画を変えたら、それに従って資金繰計画も変わるのである。
 先に述べたように、資金繰計画というものは、利益計画と資金運用計画を合成してこれを暦日に従って展開したものである。つまりは、利益計画と資金運用計画の変形なのだ。(利益計画から資金繰計画を立て、これを資金運用計画に変形するという場合もある)
 だからこそ、利益計画が変わらぬ限り、資金繰計画は変えてはならないのである。また、それだからこそ的中率は悪くとも、資金繰りの実態を正しくとらえることができるのである。

セキやんコメント:  状況逼迫したケースでは、社長自らが取り組む必要がある。しかし、利益計画を毎月クリアしているような優良企業では、やり繰り計画である資金繰表は(社長にとっては)不要だ。小職は、自社の収益構造と取引条件を基礎とし、社長が売上見込を入れるだけでできる「資金見通し表」を提唱している。

「経営の腑」第250号<通算565号>(2018年11月2日)

 資金運用計画を狂わせるもの  一倉定著「経営計画・資金運用」(社長学シリーズ第2巻:1976年刊)より
 計画表には、たくさんの勘定科目がのっている。しかし、それぞれの科目がいろいろな要因によって変動するように見えて、その実、本当の意味で動くのはたった4つしかない。それ以外の勘定科目は、社長の方針によってコントロールが可能なのである。
 その4つとは、経常利益、受取手形、売掛金、棚卸資産である。
 経常利益こそ、事業経営の最重要事項として、社長が全責任をもってこれの完遂に死力を尽くすものであることはいうまでもない。それと同時に、資金運用計画のぞれぞれの数字を基本的に決めてしまうのである。利益が出ない限り、資金運用も資金繰りもあったものではないのである。
 ところが、受取手形と売掛金と棚卸資産の3つは、利益が出ても出なくても、それなりの管理ができるし、しなければならないものである。それは、社長の指導と社員の行動によって、変えることができる。売掛金回収に努力してこれを減らすことはできる。在庫管理のやり方によって、棚卸資産の残高が違ってくる。受取手形は、あなた任せのように見えて、その実、ある程度のコントロールはできるのである。
 以上の4つは、社長の指導と社員の行動によって、その数字が決まる。それ以外の数字は、社長と経理担当者によってコントロールされるのである。
 つまり、社長を始めとして、全社員の一挙手一投足が、資金運用そのものである。そしてそれがバランス・シートの数字を作り出すのである。バランス・シートは、事業活動の結果である。しかし、それは「いろいろやったところ、こうなった」というのではなくて、「人々の意思によってつくりあげる」ものであることは既に述べた通りである。
 このように、資金運用とは資金担当者のみ関知するものではないことを、社長は全社員によく認識させ、コントロールさせるものなのである。
 では、そのコントロールとは、具体的にどのようなものであり、どうすればいいのか、ということになる。
 それをこれから述べることにする。
 (→固定資金を管理・運転資金を管理・実質金利を管理・支払手形を退治・長期資金運用 へと続く)

セキやんコメント:  あくまでも経営の数字は、わが社の活動の結果である。その意味で、経営者の仕事は数字を創る(クリエイト)ことである。そのために、それぞれの役割において、社内メンバーが好転のキー・ファクター(要素)を手分けして磨き込んでいくという、共通認識が大事なのだ。

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