Sekiyan's Notebook グローカルニュース

セキやんのグローカルニュース


第96号(2002年1月18日)

第97号(2002年2月1日)

第98号(2002年2月15日)

第99号(2002年3月1日)

第100号(2002年3月15日)

第96号(2002年1月18日)
<グローバルスペース>

超優良企業の特徴
ピーターズとウォーターマンは80年代前半に著した「エクセンレント・カンパニー」で、超優良企業の8つの特徴を述べた。それは、行動重視(試す・やってみる)、顧客密着(顧客から学ぶ)、やる気重視(自主性と創意工夫)、人材尊重(社員を生かす)、価値に基づく実践(理念哲学にしたがう)、得意分野重視(本業にこだわり)、組織の単純化(小さな本社・簡素な組織)、集権と分権の両立(厳格な規範と権限委譲)、である。既に20年近くになっているので、取り上げられた中にその後経営不振に陥った企業もあり、それを揶揄する向きもあった。しかし、情報過多の中で分析に頼りすぎる危うさに警鐘を鳴らし、それぞれの企業文化によって会社の方向が決まるという指摘については、今こそ官民問わず噛み締めるべきだ。

セキやんひとこと:人は「規則」ではなく「風土(=企業文化)」によって動く、と言われる。そういえば、あの元国税局長の例もある。彼こそ、脱税は罪だと最も分っている立場だった。風土の問題でなければ良いが。
公的機関の特性 −P.F.ドラッカー著「マネジメント」より−
「公的機関と企業の基本的な違いは、支払の受け方にある。企業は顧客を満足させることによって支払を受ける。つまり、顧客の満足が成果と業績を保証する。ところが、公的機関は予算によって活動と関係のない公租公課収入から割り当てられ、成果や業績に対して支払を受けるのではない。この予算から支払を受けるということが、成果と業績の意味を変える。予算型組織では、成果とはより多くの予算獲得であり、業績とは予算を維持ないし増加させることなので、成果という言葉の通常の意味、すなわち市場への貢献や目標の達成は二義的となる。だから、予算型組織においては効率やコスト管理は美徳ではなく、その意義は予算の規模と人の数で計られる。より少ない予算やより少ない人間で成果を上げても業績とはされず、むしろ組織を危うくしかねない。予算を使い切らなければ、次の年度には予算を減らせると議会に思われるだけである。」と述べ、それを乗り越えるには、「公的機関に必要なことは、企業のまねではない。もちろん、成果について評価することは必要であるが、何よりもまず、病院らしく、行政組織らしく、政府らしくなければならない。自らに特有の使命、目的、機能について徹底的に検討しなければならない。」と締めくくっている。

セキやんひとこと:手段である組織を維持することが目的ではない。ミッションが源流なのである。
<ローカルスペース>
地方小売、苦戦の因 −日経新聞14日付3面の「経済観測」から−
大丸の奥田務社長はインタビューの中で、「公共投資への依存が高いとか、企業城下町で一企業に頼っている地域の経済は苦しい。地方の消費者は高級品などについては周辺の大都市に出かけて買う傾向にあるので、地方の消費は伸びにくい。大都市型の百貨店が全般に堅調なのは、地域の購買力が強いうえ、高級ブランドなどで商圏を広げているからだ。地方の小売業やスーパーは扱う商品が競合し、価格競争に巻きこまれやすい」と語っている。さらに、ユニクロの袋を手にして高級ネクタイを買う顧客の姿を例に引き、ひとりの消費者の中に高級品志向と廉価品志向が同居している複雑さも指摘している。

セキやんひとこと:現代人の嗜好変化のスピードには、商品の鮮度で応えていくことが肝心だ。奥田氏は、そうした機動力を発揮するには、国内メーカーと小売業との強者連合が必要だと主張している。ここは、国内製造業にとってのチャンスで、かつて知恵と汗を出し創意工夫を重ねたことを思い出したいものだ。

第97号(2002年2月1日)

続、重職心得箇条
9ヶ月前小泉内閣が発足した翌日の当ニュース77号で紹介した「重職心得箇条」を、後に小泉首相が田中元外相に贈って話題になったが、その配慮も及ばぬ事態に至った。また、ブッシュ米大統領が29日に行った一般教書演説で、北朝鮮・イラン・イラクについてテロリストを支援する「悪の枢軸」と批判し、名指しされた各国は態度を硬化させた。本号では、安岡正篤著「佐藤一斎、重職心得箇条を読む」を再度紹介する。
<グローバルスペース>
第一条と第十一条 −ブッシュ大統領へ−
重役とは国家の大事を処理すべき役職であって、その重の一字を失い、軽々しく落ち着きがないのは悪い。大事に際し油断があるようでは、この職は務まらない。まず挙動言語から重厚にし、威厳を養わねばならない。(中略)また、小事にこせついていては大事に手抜かりがでてくる。小さなとるに足らない物を省けば自然と大事に抜け目がなくなるものである。このようにして初めて大臣(大統領)という名に叶うのである。
心を大きく持って寛大でなければならない。ほんのつまらぬ事を大層らしく考えて、こせこせした振舞をしてはならない。(中略)人を包容する寛大な心と何でも受けとめることのできる度量の大きさこそが、まさに大臣の大臣たるところというものである。

セキやんひとこと:かねてからブッシュ大統領に覇権主義的な危うさを感じているが、十一条でいうところの寛大さと度量の大きさは世界のリーダーとして必須の要件だ。菓子で気絶している場合ではない。
<ローカルスペース>
第十二条 −鈴木某委員長へ−
大臣(委員長)たるもの胸中に一つの定まった意見を持ち、一度こうだと決心した事を貫き通すべきであるのは当然である。しかしながら、心に先入観・偏見を持たないで公平に人の意見を受け入れ、さっとすばやく一転変化しなければならない事もある。この心を虚しうして意見を聞き一転変化することができない人は、我意が強いので弊害を免れることが出来ない。よくよく反省せられよ。

セキやんひとこと:定見を持つことが大事、そして無私のバランス感覚こそが人格に厚みを増す。
第十六条 −外務官僚諸君へ−
物事を何でも秘密にしようとする風儀は非常に悪い。大切な問題は秘密でなければならぬが、明け放しても差し支えのない事までも包み隠しする場合は、かえって人々に探ろうという心を持たれることになる。

セキやんひとこと:その使命は、組織防衛にあらず、外交にあり。外交にとって大切か否かということ。
第二条 −田中元大臣へ−
(前略)部下を引き立てて、気持ち良く積極的に仕事に取り組めるようにして働かせるのが重要な職務である。また小さな過失にこだわり、人を容認して用いることがないならば、使える人は誰一人としていないようになる。功をもって過ちを補わせることがよい。(後略)

セキやんひとこと:外務大臣は司直ではない。その使命は、外交の成果をあげることにある。そのためには、所轄のスタッフをパートナーと心得ることである。決して、ご主人様と使用人の関係などではない。

第98号(2002年2月15日)
<グローバルスペース>

オタワG7のメッセージ −共同声明(9日)要旨より−
共同声明では、リスクはまだ残っているが、世界経済は再び拡大される見通しが強まっているとした。各国は力強く、継続して景気回復を促進すべく適切な措置を続ける。引き続き為替市場を注視し、適切に協力していく。ユーロの紙幣・貨幣の導入が成功裏に行なわれたことも歓迎した。
アルゼンチン当局の最近の発表など、経済改革プログラムについて、IMFや国際社会との協調を促し、国際金融危機の回避のために、民間セクターを含む枠組の改善の主導的役割を果たし、次回のG7会議で進展をチェックすることとなった。

セキやんひとこと:次回に進展をチェックするなどの表現からしても、遅々として進まない日本の改革を静かにかつ厳しく問うている。日本国内における偏狭で空虚な議論は終わらせ、日本に求められるのは具体的な行動を示すことだという最後通告だ。
アマン。清水。ウォザースプーン。里谷 −ソルトレークシティー五輪−
弱冠20歳のスイスのアマンがジャンプ競技で二冠を達成した。最悪のコンディションを克服しての清水の銀メダルには脱帽だ。短距離スケート界の強豪カナダのウォザースプーンは悲願の金メダルにまたも及ばなかった。モーグルの里谷は、ここ一番の集中力で銅メダルを引き寄せた。

セキやんひとこと:またも筋書きのない人生ドラマが展開され、様々な想いを駆け巡らせてくれる。丁度4年前には米国のベンチャー事情視察旅行中で、カリフォルニアの宿のテレビで長野五輪を観た。地球規模の画面は空間を飛び越え、見る者の居場所を勘違いさせてしまう。
中国の行革加速 −日経新聞より−
中国政府が投資や貿易などに関する行政手続の簡素化を進めている。柱となるのは「審批」と呼ばれる許認可項目の削減や簡略化だ。WTO加盟を踏まえ統一的で透明性のあるルールを整備すると同時に、規制に守られてきた国内企業の競争力向上を促すねらいのようだ。象徴として、日本ガイシが営業許可書を取得するのに、6年前に4ヶ月かかったものが、昨年末には1ヶ月に短縮されたとの例を引いている。

セキやんひとこと:海外からの直接投資と国内企業の事業意欲の喚起という狙いがあるようだが、国家的な戦略を定めメディアを動員した中国のしたたかな実行力と、日本政府のノー天気には雲泥の差がある。
<ローカルスペース>
都市計画法改正に注目!
3月初旬国会に提出予定の改正案の概要は、一定規模以上の都市計画区域において3分の2の地主の同意があれば、1人または複数の地主やNPO法人、街づくり協議会などが、この区域の生活道路、公園の配置、建物の用途や高さなどについての素案を都道府県か市町村に提案できるというもの。その提案に対して自治体は都市計画審議会に諮り早急に採否の判断をすることになる。

セキやんひとこと:詳細によっては、自治体自身への良い面での刺激になり、真剣に取り組むきっかけとなり得る。少なくても、回りくどい手順の節約効果とオープンな検討の促進が期待できる。

第99号(2002年3月1日)
<グローバルスペース>

ブッシュの限界
米国DODは対テロ戦争に貢献している26ヶ国に日本を含まなかった。6万キロリットル弱23億円にも及ぶ燃料補給をアラビア海で実施していることを単純に見過ごした、では許されない。即刻海上自衛隊を全艦引き上げても良いくらいのブッシュ相変わらずのノー天気振りだ。

セキやんひとこと:情報コントロールが完璧の国防総省だから、恣意的な臭いがする。米国追随の小泉外交がブッシュに理不尽な行動を取らせているようだ。ナメラレルな小泉、内外両面共に迎合するなかれ。
デフレ無策
27日に総合(?ホント)デフレ対策が発表になった。28日に日銀が一層の金融緩和策を発表した。一方では塩爺が、税制対策に緊急を要する場合は年度内発効の可能性もこれから勉強したいなどと相変わらずの寝ぼけ振りを演ずる。鳴り物入りだった気鋭の経済学大臣もお疲れ気味のようだし・・・。

セキやんひとこと:歴史的に見ても、物価のコントロールはできた試しはない。インフレターゲットなどは行政と学者の思い上がりだ。付加価値を産み出せず、安穏とした食い潰し経済の限界だ。産業であれ行政であれすべての機能体としての使命の原点すなわち存在意義は、いかに世に役立つかなのだ。
スケープゴート
ダイエーが国策を受けて一気にリストラになだれ込んだ。主力行の金融支援は5200億円にもおよぶ。簡単に5200億円というけれども、落ち着いて検証すると大変なことだと分かる。昨年度の日本国内の平均的な黒字中小企業の純利益が580万円弱であるから、そうした優良企業9万社が1年間束になってようやく積み上げられる付加価値に相当し、それを構成する従業員153万人の血と汗の結晶でもある。

セキやんひとこと:安易にダイエーを株式市場の生贄にして貰いたくない。ダイエーは本業で採算性を確保することだ。株価はその後の問題だ。株価があって企業がある訳ではなく、企業があって株価があるのだ。
<ローカルスペース>
ダイエー一関店の閉鎖
ビッグチャンスだ。つまり、地域経済を自助努力タイプへ転換する絶好のチャンスととらえるべきだ。大手資本から決別し、置いて行ってもらう「地元採用の人的資源」「適合した設備」「定着した売場イメージ」などを活用して、地域住民の求めている機能を提供すること、この一点に集中することで再生可能だ。

セキやんひとこと:市当局と商工会議所には示したが、行政の定型かつ無駄な「何とか継続して」の陳情パターンと一線を画すことを地域経営のトップが決断することだ。すなわち去る者は追わず、しかしダイエーの社会的責任については正面からただす。具体的には、売場ごとの事業内容の開示を迫る。そのデータから、今後当該事業を継続発展させる上で採算性をどう組み立てれば、地域から求められる「機能」を担保できるかが見えてくる。今まで遠慮していた現地採用者も、主体的に存在感を発揮できる。この類型で進めるプロジェクトは、こと一関に限ったことではなく、国内の地方経済が大手の見かけ倒し(=張子の虎、実体が伴わない)虚構の資本依存経済から自助努力経済へ脱皮する壮大な実験と位置付けられる。

第100号(2002年3月15日)
<グローバルスペース>

企業の目的は顧客創造
ピーター・F・ドラッカーは、「自分はエコノミストではなく、オブザーバー(観察者)だ。エコノミストは数字を見る。私は人を見る。人と社会、その価値観の動きを観察する。」と自己を定義している。また、「企業の目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。」とたった一言で企業の本質に言及している。

セキやんひとこと:最も尊敬する経営原理の師であり、その視点は中小企業にも通用する。氏の専門分野であるマネジメントについても、「人について行なうべきは、マネジメントすることではなく、リードすることである。その目的は、一人ひとりの人間の強みと知識を生かすことである」と述べている。まさに至言である。
運命を立命に
安岡正篤は、明代の不遇の天才袁了凡が息子に語りかける形で遺した「陰しつ録」を引き、「個々人の運命は決まっている。しかしそれは天命ではありますが決して宿命ではありません。その人の思いと行ないによって運命は変えられます。」と主張し、自らの信義に則り歴代総理大臣の指南役を貫いた。
中村天風は、「言葉は人生を左右する力がある。この自覚こそ、人生を勝利に導く最良の武器である。」とし、心身統一法を首尾一貫して実践した。それは「正直・親切・愉快に日々過ごしていく」という三行を実践することで、自ずと道は開かれるとした。また、「気」の研究家としてもヨガの実践者としても先駆けである。

セキやんひとこと:まさに安岡教学と天風哲学は、人としてあるべき姿を示す原点である。その気概には圧倒されるばかりだが、ほんの少しでもこの世に生を受けた者として、立命に近づきたいものだ。
<ローカルスペース>
留魂録
吉田松陰がローカル萩での松下村塾で塾生に関わった期間は、トータルでわずか2年4ヶ月だった。しかし、そこで教えを受けた弟子達が明治維新の原動力となった。その刑死前日に書いた「留魂録」に、松陰の人となりが出ている。それは、「春に穀物の種をまき、夏は苗を植え、秋に刈り取り、冬にはそれらを蔵にしまって収穫を祝うというように、一年には四時(四季)がある。人の寿命は定まりないが、十歳で死ぬものには十歳の四時があり、二十歳で死ぬものにはおのずから二十歳の四時がある。私は三十歳で死ぬことになるが、わたしにも四時があり、苗は育って実をつけた。それが立派な実かどうかわたしは知らないが、同志の諸君がわたしの気持ちをあわれんで、志を受け継いでくれる人がいれば、種は絶えることなく年々実を結んでいくだろう。」という遠大さである。一方、当初鼻っ柱の強かった弟子の久坂玄瑞には、その才を認めながらも「身近な人で、あなたにしたがって死んでくれる人は何人いますか。大事なのは議論ではありません。実行です。あなたの手紙には、一つとして実行したことから語られたものがなく、みな空論。自分とかかわりのないことを論じるのは、誰でもできる事です。」と厳しくいさめ、現実を重視することも忘れていない。

セキやんひとこと:処刑される前日というのに、「留魂録」は全く達観の境地で記されている。何もうらまず、偉らぶるところもなく、悲運も嘆かず、平静で淡々としている。見事である。だからこそ、こんな短期間でローカルから日本の歴史を動かすような人材を輩出することができたのだろう。及ばずも、かくありたい。

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