Sekiyan's Notebook グローカルニュース

セキやんのグローカルニュース


第156号(2004年5月7日)

第157号(2004年5月21日)

第158号(2004年6月4日)

第159号(2004年6月20日)

第160号(2004年7月2日)

第156号(2004年5月7日)
<グローバルスペース>

CD景気
 これは、ご存知チャイナ(中国)とデジタル製品群の活況に支えられた景気のことで、なかでもC景気については中国の巨大需要による製品そのものの伸び効果とそれに伴う原材料の逼迫間から、石油製品をはじめとした素原材料の高騰を招き、資材調達コストにも世界的な過熱感を演出している。

セキやんひとこと:皮肉にも、このCD景気は地方でも大いに実感させられる。Dの方のデジタル製品関係では地元製造業もマダラ模様ながらも一時と違って企業によっては大忙しだし、消費者として割高なガソリン価格などからデフレも一段落なのかと割を食った思いを強く感じている。
中小ベンチャーファンド法、30日施行される
 去る2月3日に閣議で決定、4月14日の参議院本会議で成立した「中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案」が4月30日に施行された。これにより、①ファンドが出資のみならず融資なども可能となり、②ファンドの投資対象を中小ベンチャー企業に限定されることなく幅広く中堅企業や公開大企業にも出資が出来るようになった。

セキやんひとこと:立法の趣旨の通り、企業にとって柔軟な資金調達に資するような効果が得られることを祈りたい。ゆめゆめ立法府である国会議員の年金問題のようにお粗末な顛末にはならぬように・・・。
視聴率30%超人気番組激減
 全国紙1面トップに踊った見出しだ。ビデオリサーチの調査で、25年前に比べて大ヒット番組の本数が1%以下に激減していることが分かった。79年の1890本がピークで、95年からは100本を割り、03年は過去最少の10本となったもの。ライフスタイルの変化や好みの多様化が、その要因に挙げられている。

セキやんひとこと:テレビの視聴率と消費動向は極めて似通っている。テレビの視聴率が好調だった頃は、マズローの人間欲求5段階説で言えば、生存欲求から安全安定欲求そして帰属愛情欲求の段階だった。消費心理としても、「とりあえずあれば良い」から「そこそこのモノを」、そして「皆と同じモノを」と消費拡大志向一辺倒で、あえて供給側に求められるものは少なかった。しかし、尊敬欲求や自己実現欲求が主流になってきた現代はまったく逆で、「ブランド意識」や「こだわり」を充足させる木目細かさこそが命だ。
<ローカルスペース>
メイセイオペラ産駒、水沢デビュー
今年デビュー予定のメイセイオペラ産駒45頭のトップを切り、4日の岩手競馬の2歳新馬戦にアロマセラピー(2牝)が出走したが、ほろ苦い5着に終わった。ご存知父メイセイオペラは、地方所属馬として初めて中央競馬GⅠレースフェブラリーステークスを制覇した名馬で、99年には地方競馬全国協会グランプリ年度代表馬となって00年に引退、生涯成績35戦23勝だった。

セキやんひとこと:5日には、高知でもハルウララとその妹が揃い踏みをして話題となった。いずれも、結果は着外だったが、世知辛いご時世に何かほのぼの感を提供している。高知競馬の03年度決算は、ハルウララ効果で何とか単年度黒字になったようだ。ご当地みちのくで、果たしてメイセイオペラが累積債務100億円超の岩手競馬の救世主となり得るか、ファンの期待は熱いのだが・・・。

第157号(2004年5月21日)
<グローバルスペース>

ロシア、着々
 チェチェンなど国内に火種を抱えるロシアだが、今月7日に2期目をスタートさせたプーチン大統領がその将来像の実現に積極的な道すじをつけている。03年の世論調査で73%の国民が望んでいるEU加盟に向けての第一段階として、近々世界貿易機関WTO加盟への動きが本格化する見通しだ。また、昨20日からは、東京で日ロIT戦略会議が開催されるなどビジネスシーンでの動きにも注目したい。

セキやんひとこと:人口は1億4500万人弱、その広大な国土や未開発の天然資源は圧倒的だが、資本主義経済に伍していくには、いろいろな課題が山積する。時には強権的と批判されるが、50代前半のリーダーはいよいよ2期目でその手腕が問われる。
技術開発型事業の類型
 ノーベル賞の江崎博士が会長を務める創業・ベンチャー国民フォーラムから少し前に届いた創造法認定事業者を対象にした報告書によると、いわゆる「技術開発型の事業者」の平均像が浮かび上がる。製品化ができて、売上が立ち、営業ベースで資金が回りだすまでの期間は3年強で、それまでの必要資金は約9千万円で、そのうち資本金を含めた立ち上げ時に用意した資金は5千万円弱が平均となっている。

セキやんひとこと:早大大学院の松田教授が調査委員長となってまとめたものだが、経営者自身から見た市場成長性や発展の理由、その子供時代の親の職業など、いろんな切り口からアプローチし興味深い資料となっている。詳細は、ホームページ(www.js-venture.ne.jp)に掲載されている報告書を参照されたい。
国民年金は、世代間互助制度
 はなはだ食傷気味の年金騒ぎだが、制度の本質を把握している向きは少ない。たとえば、「貰う気も無いし、当てにしてないので払わない」人、これは貯蓄型ではなく世代間が支え合う義務型だということが分かっていない例。結果的に、払わない人が多ければ多いほど、払っている人や国庫負担が増すことになる。

セキやんひとこと:制度の不備について、いまさら言うまでもないが、その法案を作ったのが厚生官僚であり認めたのが当の国会議員だ。任意加入の時期だったなどと言い逃れするのではなく、国民の代表として自ら範を垂れ義務を果たすべき議員は、当然進んで加入納付するのが当たり前で、議論の余地はない。
<ローカルスペース>
きらら化粧室
盛岡駅周辺の店舗で、自店のトイレを市民や観光客に提供する運動が始まった。従来から設置していたハンギングバスケットの支柱に14日から新たにガラスアートの手作り案内板が添えられ、開放されたトイレが示されている。公衆トイレが少ないという問題意識から、市民団体が働きかけ、商店主の協力を得て実施したものだ。頭上の支柱に掲げられた遠慮がちな大きさの看板なので、スマート過ぎてちょっと目には分かりにくいが、それもまた良しだ。目線の高さあたりに、立て看板で補完するなら、さらにグッド。

セキやんひとこと:できることから始めるという好事例。個店のトイレ提供については、ユニバーサルデザインの世界でも着目されている手法で、沼津市の商店街や小松市の個店等でも実績がある。行政依存の「くれない族」商店街と自助努力の「できることから」商店街との差は歴然としている。

第158号(2004年6月4日)
<グローバルスペース>

石油輸出国機構OPEC会議
 先日NY市場で、史上最高となる1バレル当たり42ドルを突破した中、ベイルートでつい先ほど行われたOPECの非公式閣僚会議で、日量250万(即時200万、8月からさらに50万バレル増産)される見込みとなった。しかし、既に市場では折込済みで、それによる価格抑制効果については疑問視する向きが多い。

セキやんひとこと:ブッシュ大統領がイラクへの介入を始めたのは、中東原油の利権を確保するという狙いもあってのことだったが、皮肉にもここに来て原油の高騰という最悪の事態に直面している。
原油高の影響
 70年代のオイルショックの際は、あのトイレットペーパーの買占めなど大騒ぎだったが、我が国の名目国内総生産GDPに占める原油輸入額の比率が1980年頃は5%超だったのが大きな要素だった。しかし、その後大幅に円高が進んだうえ、石油製品を原料や燃料として使う製造業の比重が下がってきたため、近年は1%ほどにまで低下している。だが、現状でも長期化すれば大手企業といえども収益や投資、さらには購買消費活動への悪影響が免れず景気への不安要素には違いない。

セキやんひとこと:6月からまたガソリン小売価格が上がり、実感として財布に響いている。ただし、卸売物価指数の石油製品全体では平均14%上昇しているが、3月の都区部のレギュラーガソリン価格は3.8%アップと小売段階への影響は相当抑えられ、関連企業群の懸命な努力がみて取れる。
ユビキタスネット社会  -JGNⅡフォーラムから-
 文字通り「どこでも、いつでも、何でも」を目指してインターネットの高度利活用の推進が図られているが、総務省の統括審議官によると平成13年3月と15年11月の比較では、インフラ部分の高速ネット利用料金は3分の1で加入者数は17倍、株式取引への電子商取引の利用は約6%から20%と3倍、国への電子申請可能手続数は1%から97%と飛躍的に伸びている。また大阪大学の宮原秀夫総長の基調講演では、膨大なモバイル環境構築のポイントは、機器よりも通信インフラの活用にウェートを置くこととの指摘には説得力(ムーアの法則とギルダーの法則を引き、その9倍程度の差異に着目)があった。

セキやんひとこと:2日に明治記念館で行われたフォーラムを岩手県立大学に隣接する岩手IT研究開発支援センターのギガビットネットワークでリアルタイム聴講した中からの話題だが、岩手に居ながら東京のセミナーを違和感なく堪能できた。大容量通信や大画面技術の進歩には目を見張る。
<ローカルスペース>
地域防災の研究
上記フォーラムの前に行われた「大規模災害時の情報交換」をテーマにした研究発表会では、やはり大画面で岩手県立大と静岡県立大を結び、岩手側から2人の研究者が静岡側から1人の研究者がそれぞれ発表された。その中で、災害時のリスクを想定して静岡のサーバーを岩手においてバックアップの信頼性を上げたり、ボランティアとの関わり方など現実に想定される事象に関して示唆に富んだ発表がなされた。

セキやんひとこと:産学連携や大学の収益性などが問われている昨今だが、人の命に関わる「防災」は産業化につながりにくい。「どこが、誰が」負担すべきかは、政治および行政哲学にも通じる。肝に銘ずべき!

第159号(2004年6月20日)
<グローバルスペース>

世界の富裕層  -ロイター-
 富裕層とは、邸宅など不動産のほかに100万ドル以上の金融資産を所有する人と定義されるという。米メリルリンチとキャップジェミニの調査によると、その世界の富裕層人口は03年末時点で770万人となり、前年末から50万人増加した。その保有資産総額は前年比7.7%増の29兆ドル弱で、今後年間7%のペースで増加し、08年までには40兆7000億ドルを超える見通し。株価や経済が持ち直し、ハイリターンの金融商品に投資が増え、01年の世界的な景気後退(リセッション)前の水準まで回復したとされている。

セキやんひとこと:日本では前年比5.8%増の131万人、米国では同14%増の227万人に達し米国民の125人に1人が「億万長者」にあたる。また高成長を続ける中国では同12%増の23万6000人、インドでも同22%増の6万1000人と急増。一方、欧州では2.4%増の260万人と緩やかな増加にとどまった。
大企業のボーナス
 16日に経団連から今夏のボーナス調査中間集計が発表されたが、回答のあった150社の平均妥結額が84万6千円強となり昨夏から3.31%の増加し、過去最高額となった。

セキやんひとこと:企業業績の回復と業績評価についてボーナス重視の傾向が進んだことが、要因と見られる。他人の財布のことだが、大いに消費に向けて貰えれば、少しはおこぼれにありつけるかな?
<ローカルスペース>
地方のボーナス
 一方岩手県内では、岩手経済研究所の推計によると、民間のボーナス支給総額は前年比1.6%減の1402億円程度、公務員は同じく8.3%減の419億円程度で、全体では6年連続(民間は7年連続)で前年を下回る見込みとなった。地場の中小企業の多くは大手企業とは様相を異にし、依然厳しい収益状況が続き支給対象の従業員数も減るなどしたことが要因と見られる。
また使い道については、1位が「貯蓄」で34.7%、2位が「消費」で34.2%、3位が「返済」で31.2%となっているが、前年比で「貯蓄」が3.4%減り「返済」が3.4%増えている。

セキやんひとこと:「返済」の内訳では、「住宅」が13.7%と最も多く、次いで「自動車」6.1%%となっている。当方はボーナスに縁はないが、「返済」に充てざるを得ないという切実さには、共感を禁じえない。
公民館を地域で運営へ
北上市は市内の16公民館をコミュニティセンターに移行させ、地区ごとの自治組織に運営を委託するという方針を打ち出した。10月ごろまでに話し合いを重ね、できれば12月議会で条例を制定し来年度から順次移行に着手し平成19年度までに全面移行する方針だ。構想としては、現在各公民館に1人ずつ配置されている市職員を引き揚げ、各センターに年間500万円程度の委託料を支払うだけですべて地域に運営を任せるというもので、地域コミュニティである自治組織にまさしく自立を求めるものだ。

セキやんひとこと:武蔵野市のように、既に昭和40年代後半から準備にかかり、同50年代初頭から地区ごとのコミュニティセンターを順次地区ごとに立ち上げてきている例もある。本来地域の自発性に委ねられるべきコミュニティ活動の本質からしても、本来の拠点運営の姿なのかもしれない。

第160号(2004年7月2日)
<グローバルスペース>

EUの欧州委員長
 EUの欧州委員会の委員長に、ポルトガルのドゥランバロゾ首相が選出される見込みとなった。今後首相を辞任し、7月の欧州議会の承認を経て11月からの登板となる。欧州委員会とはEUの行政執行機関で、いわゆる「内閣」の役割を担う。委員長はEU各国の首脳を相手に財政規律などEU内の取り決めを守るよう交渉する役割も求められ、強い政治指導力や中立性が求められる難しいポストだ。

セキやんひとこと:現委員長のプロディ氏に続いて、首相経験者の就任となった。5月に10カ国が加わった拡大EUの新体制の要として、25カ国を束ねて行くことになる。どこかの1国主義とは一線を画すEUの壮大な活動の未来に希望があらんことを心から祈る。
米、0.25%利上げ
 アメリカ連邦準備制度理事会FRBは、約4年ぶりにフェデラルファンドFF金利の誘導目標を0.25%予想通り引き上げた。昨年6月以来の年1.0%の超低金利に終止符を打ち、金融緩和策の転換を図った。すでにヨーロッパにおける影響力が大きいスイス国立銀行は6月16日にやはり約4年ぶりの利上げを行うなど、ユーロ圏でも金融引き締めの動きは既成事実となっている。

セキやんひとこと:今後のFF金利の見通しについては予断を許さないが、年末に2.0%程度になりその後1年程度でさらに1%程度上乗せされるとの見通しが有力だ。日銀の量的緩和策だけでは、世界的な金利上昇リスクを回避することは難しく、国内でも実質的な金利の上昇が当然予想される。
物流、世界の潮流  -企業診断7月号ほか-
 ウォルマートは一部の大手納入業者の商品ケースやパレットにICタグ(電子荷札)の装着を求め、既にテキサス州などで展開を始めた。商品がどこにあるかを瞬時に把握することによる在庫管理の効率化がその目的だが、2005年には有力取引先全社を対象とする方針で、他の大手小売業者にも波及する勢いだ。

セキやんひとこと:こうしたアメリカの情勢からして、日本でも同様の動きが早晩予想される。日本におけるICタグの活発な基本技術論議も良いが、ビジネスシーンで重要なのは「その優れた技術をどう生かすか」で、ここをしっかりと押さえて対処したいものだ。ゆめゆめ目的と手段を取り違えることなかれ。
<ローカルスペース>
物流、国内の潮流
 当地の某物流センターでも、扱い製品の約半分が中国をはじめアジアからの輸入品が占める。近年増加し続けるプライベートブランドを生産コストの安い国で生産するという動きがこれに拍車をかけている。こうした中、三井物産やホーマックなどのホームセンター3社で設立した共同仕入れ会社DMCジャパンでは、韓国や中国にある無料で1~2ヶ月保管可能な保税倉庫を利用するなどして、輸入商品の在庫基地を生産地のあるアジア各国に完全移管することを決めた。

セキやんひとこと:同社は03年5月の設立で同年の取扱高は300億円に達した。この移管によって、保管コストを国内の3分の1とし、05年には出資3社の合計売上高の2割(1000億円)の売上を目指す。無料の保管制度に目をつけるとは恐れ入った。ただ、先方も足元を見て制度自体を変えてくる危険性あり?

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